1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
鳴海 多恵子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90014836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日景 弥生 弘前大学, 教育学部, 助教授 (10142829)
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Keywords | 被服製作 / 糸結び / 巧緻性 / 手指 / 微細運動機能 / 評価方法 |
Research Abstract |
本研究は、手指の運動機能性の評価方法を確立し、それに基づいて現代のこども達の手指の運動機能性の実態を把握すると共に、運動機能性の優劣と生活環境や性格との関連から支配要因について追究する。さらに被服製作学習との関連を追究し、今後の被服製作教育の内容を検討する基礎的知見を得ることを目的としている。本年度は、手指の運動機能性の一評価方法である「糸結びテスト」を本研究における中心的評価方法として確立するために、他の手指の機能評価方法の成績との関連からその運動要素の分析を行い、評価方法としての有効性を検討した。研究方法は、高校生(229名)と小学生(120名)を対象に、糸結びテストを含む15〜20種の手指の機能性評価方法を用い、計測を行った。 その結果、糸結びテストの成績の上位群は他の評価方法の成績においてもほぼ下位群の成績を上回った。また、特に手先の細やかさ、目と手の供応性、敏捷性、作業の安定性の運動要素をもつ評価方法の成績と糸結び数間に有意な相関が認められたことから、糸結びテストは、これらの運動要素が複合したものと考えられた。「糸結びテスト」は他の評価方法に比して用具、方法が簡便で大量データを得やすい利点を持つ。さらに今回の調査から、いくつかの評価方法には低年齢でmaturityに達することが、小学生と高校生の結果の差異から推察された。この点については「糸結びテスト」は、むしろ小学生低学年以下を対象とする場合は作業の困難さが予測されるが、家庭科教育を履修している年齢では十分に手指の運動機能性の差異が見いだせるものと考えられた。以上のことから、本研究を行うにあたり「糸結びテスト」は有効な評価方法であると確信された。
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