1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680005
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
鳴海 多恵子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90014836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日景 弥生 弘前大学, 教育学部, 助教授 (10142829)
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Keywords | 糸結びテスト / 手指の運動機能性 / 被服製作学習 / 自己評価 / 器用 |
Research Abstract |
本年度の研究は現代の子どもの手指の運動機能性の実態を明らかにすると共に、その機能性の優劣を基底する要因および優劣意識が及ぼす影響について追究した。調査方法はアンケートと糸結びテストにより行った。調査対象は青森県、東京都、神奈川県、滋賀県、沖縄県の小学生から大学生約3200名である。 調査の結果、現在の子どもたちの糸結びの成績は1958年の藤沢らの結果に比べ、女子では40〜50%、男子では40〜60%低下しており、過去37年間の手指の運動機能性の低下が定量的に把握された。また、個人差が拡大し、特に学年が低いほどその傾向が顕著であった。これらのデータを成績により上位群と下位群にわけて学習、生活、性格の特徴を比較したところ、上位群は学習に積極的で、自信を持ち、協調性があり、外遊びや習い事、手伝いなど様々な活動をしている割合が高く、下位群は神経質で自己不信の傾向があり、テレビ視聴やテレビゲームなどに費やす時間が多い事が明らかになった。これらのことから、手指の機能性の優劣は単に作業能率に影響するだけでなく、性格特性や学習への取り組みにも影響があるといえ、生活習慣として直接体験の豊かさが手指の機能性の発達に関与していることが推測された。さらに、高校生を対象に手指の器用さに関する自己意識と実態について調査したところ、自分を「器用」と自己評価したものは3割であり、「無器用」と評価する傾向が強いことが明らかとなった。特に序しには過小評価する傾向が強かった。このことは被服製作学習を進める上での意欲を意欲を低下させる一因であり、指導上留意すべき点と考えられた。
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