1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山岸 雅子 金沢大学, 教育学部, 助教授 (00239873)
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Keywords | 住居観 / 地域性 / 石川県 / 住まい方 |
Research Abstract |
平成9年度は、平成7、8年度において実施した石川県の調査の補足のために、石川県最大の人口減少地域において調査(平成9年10〜11月)を実施した。調査対象地は能登地方の珠洲郡内浦町で、九十九湾に面した小さな漁村である。回収数は56票である。この調査において以下の結果が得られた。 1.家族は2人世帯、高齢夫婦のみや三世代家族が多い。夫の職業は漁業従事者が多い。2.住宅は圧倒的にKタイプが多い。部屋数の多い世帯が多く、最も多いので13部屋ある。また和室の割合が高く1世帯平均6.3部屋であるが、洋室は0.9部屋である。3.夫婦の就寝は和室約80%であるが洋室は13%程度である。子供寝室(長子)は和室が67%、洋室が30%であり、和室が圧倒的に多いものの子供室の洋室化傾向はみられる。4.冠婚葬祭を自宅で行うことに関して、正月の祝い(94.0%)、結納(70.1%)、法事(42.6%)、葬式(35.5%)、結婚披露宴(4.3%)の順で自宅で行うのが当然とする世帯が多い。5.住宅及び住環境の評価は総じて60%程度が満足している。評価されている点は部屋数や日照・通風の良さ、日常生活施設、自然環境、近所づきあいなどである。不満が高いのは間取りや収納スペース不足、公園の不足、災害に対する安全性、交通の便などである。6.高齢期の子世帯との住み方は、従来型の設備共用の同居及び近居や隣居を理想とする世帯が多く、別居は皆無であるが、現実的には従来型の同居に次いで別居が多くなる。親の理想とは異なり、子世帯が転出し村に高齢者が残され過疎化している状況がうかがわれる。 平成7、8年度調査の金沢市郊外の松任市のニュータウン、能登地方の中都市羽咋市における結果と比較すると、総じて、珠洲郡、羽咋市、松任市の順で、住宅形態や住まい方、住居観に関して伝統的な色彩が濃い傾向が見られる。
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