Research Abstract |
【研究目的】本研究は,子どもの遊びを見守り,必要に応じて適切な援助をする大人(プレイリーダー)が常駐する遊び場を,都市の中にどのように組み込んでいけるのか,その可能性を探ることである。 【研究方法】昨年度は,神戸市の児童館において利用実態調査を行ったが,今年度はこれらの児童館を利用圏域に含む小学校3校を対象に調査を実施した。調査は2種に分けられ,(1)児童調査では,2年生,5年生の児童を対象に,放課後の遊びや児童館の利用状況,近所の遊び場にたいする評価をたずねた(回答者638名)。(2)保護者調査では,地域の遊び環境にたいする評価,児童館にたいする評価などをたずねた(回答者497名)。 【結果】児童の基本属性として,集合住宅居住が多い,母親の6割が就労している,お稽古ごと・塾への参加率が高いなどの特徴がみられた。放課後の遊び状況をみると,遊び相手は同年齢で2,3人の友人が多く,遊び集団は均質,小規模である。遊び場所は,自宅が最も多く,近所の公園や校庭(開放されている)などの屋外空間利用も比較的多い。外遊び志向は強く,児童の9割は日常的に外遊びをしている。学童保育児童を除く一般児童が児童館を利用する割合は約4分の1で,利用頻度は学年が上がると低下する。児童館を利用しない理由で上位を占めたのは「家から遠い」「家で遊ぶのが好き」「おもしろいくない」で,学年が上がると児童館の魅力が低下していく。また児童は,近所の遊び場に多くの要望を持っていることも明らかになった。一方保護者も地域の遊び環境に問題を感じており,子どもの一人遊びを禁止したり,遊ばせるのを不安に思う場所があるとした回答は多かった。しかし,安心して遊ばせられる場所の存在も指摘しており,学校の校庭や児童館などがあてはまる。児童館にたいしてはプラス評価が多いが,空間的な狭さや屋外遊び場がないことへの不満もみられた。児童館は,都市においては貴重な遊び場であるが,魅力ある場所となるためには課題が多いことが明らかとなった。
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