1998 Fiscal Year Annual Research Report
Pseudomonas cepasiaによるカテキン酸化の生化学的研究
Project/Area Number |
09680028
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
加藤 みゆき 香川大学, 教育学部, 教授 (70112654)
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Keywords | カテキン / Pseudomonas cepasia / 後発酵茶 / 有機酸 |
Research Abstract |
今年度は、茶成分のカテキン類に影響のある後発酵茶から分離したPseudomonas cepasia(P.cepasia)について検討を行った。茶成分への影響を検討するために、モデル的にP.cepasiaを添加し、後発酵茶を製造した。製造方法は、農林水産省野菜茶業試験場で栽培されている品種Z-1を用いて、硬葉ごと摘採し、2分間緑茶用の蒸し機で蒸煮した後揉捻機で軽く揉捻を行った(100回)。この揉捻葉1500gに対して培地300ml、P.cepasiaの培養液300mlを加えたものをそれぞれ簡易型漬物器にいれて、密閉し通常の桶づけの日数としてよく用いられている日数として14日間漬け込み操作を行った。その後漬け込み液を捨てた後、上部茶葉を捨て、茶葉を取り出し、1枚1枚バラバラにしてムシロ上で天日乾燥させた。P.cepasiaの培養条件は、37℃で2日が最もよく培養される事から2日間培養したものを用いた。その結果カテキン含量については、一般的な茶に比較して(-)エピガロカテキンガレート(-)EGCgの含量が少なく(-)エピガロカテキン(-)EGCの含有量が最も多く認められた。 総カテキン含量としては、培地添加区が最も多く、P.cepasia添加区においては、12.3%カテキンの減少が認められた。培地添加区においては、蓚酸のみ同定されたが、P.cepasia添加区においては、酒石酸、酢酸が新たに認められた。後発酵茶の有機酸の結果より多く認められた乳酸は今回は認められなかった。今回は、P.cepasiaの生育に必要な培地であったためとP.cepasiaの菌叢が多くなったために乳酸菌の生育が低かったと考えられた。 総アミノ酸含有量は、P.cepasia添加区では、対照区に比較してアミノ酸含有量が減少していた。これは、P.cepasiaが漬け込み期間中に生育に使用したものと考えられた。後発酵茶においても桶だし後にアミノ酸の含有量が減少していた事によっても明かである。特にアルギニン、セリンの減少が認められた。漬物茶特有の酢酸、リナロールおよびそのオキサイド類やベンジルアルコール、2-フェニールエタノール等が認められた。P.cepasiaの影響としてベンジルアセテートの増加を除いて、ほぼすべての成分が減少していた。
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