1998 Fiscal Year Annual Research Report
食事の仕方が人の自律神経活動と食べ物の消化管通過時間に与える影響
Project/Area Number |
09680030
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
曽根 良昭 大阪市立大学, 生活科学部, 助教授 (60145802)
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Keywords | ストレス / 消化管通過時間 / 自律神経 / 脳波 |
Research Abstract |
本年度の研究では、ストレスが食物の消化管通過時間に及ぼす影響について検討した。食物の消化管通過時間の測定は乳糖を含む食事をした後、呼気中に排出される水素ガス濃度を測定することにより推測した。まず女子大生23名の呼気中水素ガス濃度の経時変化について検討した。その結果、呼気中水素ガス濃度の上昇パターン(食事中の非消化性糖質が大腸に達し始め終息する時間)には、大きく2つのパターンがみられた。それは1日の活動時間を前半・後半と分けた場合、前半から水素濃度が上昇し後半にも上昇するタイプ、前半はあまり変化がないが後半になると徐々に増加し、ピークに達するタイプである。しかしこの2つのパターンとアンケートによる食生活、生活活動との関係を見出すことはできなかった。また、前日最後の食事を摂った時間から翌朝呼気中に水素ガスが観察されなくなるまでの時間は、平均12時間50分であった。これらの結果を基に被験者を選定、実験条件を設定して、本研究課題である食事の仕方=主にストレス=が食物の消化管通過時間に及ぼす影響について、被験者5人により検討した。その結果、今回の実験条件下ではリラックス時、ストレス時での脳波や自律神経活動指数に有意な違いは見られなかった。しかし、13時間ほどの絶食後、乳糖を含む食事をした後の呼気中水素ガス濃度の増加が始まる時間は、ストレス時の方がリラックス時よりも早く、またそのピークも高くなる傾向がみられた。このことは食事後のストレスが、食物の消化管通過時間を短くし、また消化を抑えるよう影響したことが推測された。 今後の課題としては、実験する環境の整備とともに、自律神経活動など生理指標に影響を与える条件下での消化管通過時間の検討が必要と思われる。
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