1999 Fiscal Year Annual Research Report
有機酸・カテキン・鉄・カルシウム・チタン共存下でのアルミニウムイオンの挙動
Project/Area Number |
09680037
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
福島 正子 昭和女子大学, 生活科学部, 講師 (00119314)
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Keywords | アルミニウム / 結合特性 / 有機酸 / ポリフェノール化合物 / 食物繊維 |
Research Abstract |
最近のアルミニウム元素有害性の研究は主としてアルツハイマー病との関わりから,カルシウム等の恒常性に影響を及ぼすことにより派生する神経毒性や酵素活性に与える影響等の研究に重点が移っているが,これらの影響もその濃度によって左右されることが認められている.一方摂取したアルミニウムの吸収に関する検討はまだ十分なされていない.また摂取したアルミニウムも速やかに排泄されれば人体における有害性は小さい.そこでアルミニウムの排泄の可能性を有機酸およびポリフェノ-ル化合物との競合的結合特性の点から検討した.さらにアルミニウムと食物繊維との結合を構成糖および組織観察により検討した. 有機酸はクエン酸,シュウ酸,リンゴ酸,酒石酸,酢酸の5種を用いた.食物繊維は野菜類,果実,きのこ類からブロスキ-変法により抽出後,透析・凍結乾燥して水溶性,水不溶性画分とした.総金属量は原子吸光光度法,アルミニウムイオンはエリオクロムシアニンR吸光光度法およびクロムアズロ-ルS吸光光度法で測定した.加熱には電子レンジとオートクレーブを用いた. その結果(1)一部の試料は加熱することで不溶性食物繊維が減少し水溶性食物繊維が増加した.これは加熱によりリグニンが一部分解したこと,不溶性ペクチンおよびヘミセルロースが低分子化し水溶性区分に移行したためと考えられた.また低分子化はゲルろ適法による分析でも確認された.(2)走査型電子顕微鏡による分析では一部の試料において食物繊維組織に加熱による著しい変化が観察された.(3)ポリフェノールにシュウ酸を添加するとアルミニウム結合量は増加したが,クエン酸を添加しても共存結合効果は認められなかった.
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