1998 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼・嚥下過程における食物の飲み込み特性に関する研究
Project/Area Number |
09680040
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
大越 ひろ 日本女子大学, 家政学部, 助教授 (80060698)
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Keywords | 咀嚼 / 食塊 / テクスチャー / 唾液 / 飲み込み特性 |
Research Abstract |
咀嚼・嚥下過程の食物の飲み込み特性を寒天ゼリーを用いて解析することを目的とした。前年度の結果を踏まえ、食塊の飲み込み特性に及ぼす力学的特性と唾液の影響について、殊に高齢者を対象に若年者との比較検討を行った。 寒天レモンゼリーを高齢者、若年者に実際咀嚼してもらい、咀嚼ゼリーの粒度分布及び唾液含有量を確認した。同時に唾液を一定時間採取し、量と粘性率を測定した。咀嚼ゼリーの粒度分布と粒形よりポテトマッシャーを用いモデル破砕ゼリーを調整し、唾液の粘性率よりキサンタンガムを用い模擬唾液を調整した。実際咀嚼ゼリーに含まれる唾液含有量より3段階の模擬唾液添加量を設定し、モデル破砕ゼリーに添加したモデル咀嚼ゼリーを調整した。同様に3段階に粘性率を変化させた模擬唾液をモデル破砕ゼリーに添加し、モデル咀嚼ゼリーを調整した。各モデル咀嚼ゼリーについてテクスチャー特性と飲み込み特性を検討した。官能評価は高齢者、若年者ともシェッフェの一対比較で行い、まとまり感、残留感(口中,喉から先)、飲み込み易さ(口から喉,喉から先)について評価した。実際咀嚼ゼリーの粒度分布は、高齢者、若年者間に顕著な差違は認められなかった。咀嚼ゼリー中に含まれる唾液量は15〜35%を示し、高齢者は若年者に比べ、少ない傾向を示した。唾液採取量は、高齢者、若年者間に顕著な差違は認められなかったが、粘性率は高齢者は若年者に比べ、高い傾向を示した。模擬唾液の添加量が増加するに従い、モデル咀嚼ゼリーのテクスチャー特性は、硬さ、付着性共に減少した。模擬唾液の粘性率が高くなるに従い、モデル咀嚼ゼリーの硬さが減少した。模擬唾液の添加量を変化させたモデル咀嚼ゼリーの官能評価の結果、高齢者は添加量35%のものが日中の残留感が少なく飲み込み易いと評価し、若年者は添加量25%のものが喉から先の残留感が少なく飲み込み易いと評価した。模擬唾液の粘性率を変化させたモデル咀嚼ゼリーの官能評価の結果、高齢者、若年者共に何れの評価項目においても有意差は認められなかった。
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