1997 Fiscal Year Annual Research Report
大麦分級粉からのアミノペプチダーゼの諸性質とその利用に関する研究
Project/Area Number |
09680047
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
土井 裕司 武庫川女子大学, 生活環境学部, 助教授 (50106267)
|
Keywords | 大麦 / 分級粉 / アミノペプチダーゼ / 基質特異性 / 最適pH |
Research Abstract |
大麦分級粉由来のアミノペプチダーゼについては、本研究が遂行されるまでは、科学的には全く解明されていない状況にあった。そこで、本研究の今年度の目的は、大麦分級粉由来のアミノペプチダーゼを、再現性良く調製し、安定性、基質特異性、各種阻害剤による影響など、その諸性質を明らかにすることを目的としている。これらの追求は、アミノペプチダーゼ研究における学術的意義を高め、本酵素が今後どのような分野、領域に利用できるかということを明らかにしていく上でも重要な情報を与えてくれることになる。 今年度の研究は、先に提出した交付申請書に従って、本酵素の安定性、特にpH安定性についての検討から始められ、次いで基質特異性が合成基質を用いて検討された。 大麦分級粉として、国産甘木二条大麦の95〜85%分級粉を用いた。酵素の精製法は以前にオーストラリア産大麦からアミノペプチダーゼを精製した方法に従った。酵素活性測定は、Pfleidererの方法(Methods in Enzymology,19,514,1970)に準拠した。基質としては、疎水性アミノ酸、イミノ酸、塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸のp-nitroanilide7種類およびβ-naphthylamide5種類の合成化合物を使用した。 各種合成基質に対する最適pHは7.0〜8.5の間にあった。 最適pHでの酵素-基質親和性を明らかにするため、Km値を測定した結果、本酵素のphenylalanine-β-naphthylamideに対するKm値は0.047mMであった。この値は、既知のアミノペプチダーゼの中では最も小さな値の部類に属する。また、各種基質の中ではphenylalanine-β-naphthylamideの加水分解速度が最も速かった。これらの結果から、大麦アミノペプチダーゼは基質に対して、大きな親和性を持つことが明らかとなった。
|