1997 Fiscal Year Annual Research Report
食物アレルギー発症機序と腸の防御機構に関する免疫組織化学的・超微形態学的研究
Project/Area Number |
09680048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
藤田 守 中村学園大学, 家政学部, 教授 (60037471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山元 寅男 中村学園大学, 大学院, 教授 (80037324)
近江 雅代 中村学園大学, 家政学部, 助手
馬場 良子 中村学園大学, 家政学部, 助手 (90271436)
松隈 美紀 中村学園短期大学, 食物栄養科, 助手 (40259669)
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Keywords | 食物アレルギー / 小腸 / 大腸 / 吸収上皮細胞 / IgA |
Research Abstract |
食物アレルギー発症機序に関する基礎的研究 乳飲期、離乳期および成熟期ラットの腸管腔内にhorseradish peroxidase(HRP)、免疫グロブリンG(IgG)-HRP、植物性レクチン、ovalbuminを投与し、経時的に小腸(空腸・回腸)および大腸(上部・下部)を採取し、光学顕微鏡または電子顕微鏡を用いて、形態学的検索を行った。 乳飲期ラット(生後14日目)の空腸において、上記の高分子物質トレーサーは吸収上皮細胞内にエンドサイトーシスにより取り込まれ、ライソゾーム系で細胞内消化を受ける経路とライソゾーム系を経由せずに、細胞側壁へ輸送される経路(トランスサイトーシス)があることが示唆された。同時期の回腸吸収上皮細胞において、トレーサーはエンドサイトーシスにより大量に取り込まれ、核上部のジャイアントライソゾーム内に蓄積された。しかし、トランスサイトーシスは観察されなかった。離乳期および成熟期ラットの小腸および大腸管腔内にトレーサーを投与した実験において、吸収上皮細胞内への取り込みは観察されなかった。 食物アレルギーに対する防御機構に関する基礎的研究 乳飲期、離乳期および成熟期ラットの血管内に、HRPまたは免疫グロブリンA(IgA)-HRPを投与し、血管側から消化管の管腔側への分泌経路を知る目的で、超微形態学的検索を行った。 乳飲期、離乳期および成熟期小腸および大腸の吸収上皮細胞において、トレーサーは基底側部からエンドサイトーシスによって取り込まれ、ライソゾーム系に輸送される経路と管腔側へ輸送される経路が認められた。特に、血管側から管腔側へのトランスサイトーシスは空腸において著明であった。このことから、高分子物質およびIgA等は血管側から吸収上皮細胞内を通過して、管腔側へ輸送されることが考えられた。特に、IgAは細胞表面で異物の侵入に対する防御に関与していることが示唆された。
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[Publications] 楠 喜久枝、藤田 守、松隈美紀、馬場良子、三成由美、田所忠弘、印南 敏、前川昭男: "カキの葉の組織構造並びに食物繊維成分について" 日本食品保蔵科学会誌. Vol.23(2). 65-75 (1997)
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[Publications] Fujita,M.,Baba,R.,Matsuguma,M.,Kai,T.,Nozaki,S.,Miyoshi,M.: "Apical and basolateral endocytic pathways in absorptive cells of suckling rat adult rats small intestine in vivo" Digestion & Absorption. Vol.20(2). 113-118 (1997)
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[Publications] Baba,R.,Matsuguma,M.,Fujita,M.,Kai,T.,Nozaki,S.,Miyoshi,M.: "Endocytosis by absorptive cells of the adult rats large intestine in vivo" Digestion & Absorption. Vol.20(2). 129-132 (1997)