1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Suzugamine Women's College |
Principal Investigator |
岡本 洋子 鈴峯女子短期大学, その他部局等, 助教授 (70270022)
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Keywords | 乳幼児 / 食行動 / 味覚感受性 / 心の発達 |
Research Abstract |
乳幼児の食生活や食事のあり方が味覚感受性や心身の発達になんらかの影響を及ぼすのではないかということは、子どもの食事行動を考える上で、興味ある課題である。本研究では、4歳未満の乳幼児を被験児として、家庭における食事行動を調べ、味覚感受性の測定および乳幼児分析的発達検査を行って、それらの相互関係を明らかにした。広島県および岡山県の認可保育園に在籍する63名を被験児(暦年齢:1歳10か月〜3歳7か月、男児34名・女児29名)として、「家庭における食事場面の観察ならびに食事内容の調査」「甘・酸・塩味に対する感受性検査」「遠城式乳幼児分析的発達調査」を行った。解析はDuncanの平均値の差の検定によった。次のような結果を得た。1.被験児のうち半数以上は、家族と共に食事内容やマナーいついて会話しながら、楽しい食事をとっており、手作り料理のある食卓であった。食事の基本技能習得程度については、1・2・3歳児ともに標準的であった。2.ショ糖溶液0.2〜0.8%,クエン酸溶液0.02〜0.06%,塩化ナトリウム溶液0.04〜0.16%の濃度範囲で、大部分の児が甘・酸・塩味を感受した。3.家庭における食事状況の健全な児は、そうでない児に比べ、甘・酸味に対する感受性には差が認められなかった。1歳児の塩味感受性のみに差異がみられた。4.家庭における食事状況の健全な児は、手の運動、基本的習慣、発語、言語理解等の発達に好影響が現れる傾向がみられた。5.以上から、幼児初期の家庭における食事状況の良否は、塩味を除く味覚感受性にほとんど影響を及ばさないが、運動、社会性、言語発達とは密接な関連性をもつことが示された。現在、乳幼児の各家庭を訪問して食事場面のビデオ撮影を行い、食事のし方、食事中のコミュニケーションについて観察中である。
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