1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中村 邦光 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60059201)
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Keywords | 江戸時代の「熱の概念」 / 江戸時代の「エネルギー概念」 / 幕末の「蘭学者」 / 明治の「科学者」 |
Research Abstract |
この研究の目的は,日本における「物理学に関する基本的な概念・述語の形成過程」を明らかにすることにある。そして今回の研究は,目的に沿った一連の研究の一環であり,特に「日本における熱(火)の概念の形成過程」を明らかにしようとするものである。 そして今年度は,4年計画の研究の初年度のことでもあるので,計画に沿って以下の作業を終了した。すなわち,日本の江戸時代において「熱(火)の概念」はどのように認識されていかたを明らかにするための作業として, (1)江戸時代の日本の科学・技術関連の書物に出てくる熱(火)の概念や,それに関係する事項を悉皆的に調査した。 (2)江戸時代の随筆や,その他の図書について,熱(火)の本質に関係する事項に言及したものを悉皆的に調査した。 (3)江戸時代の百科事典類,その他の資料について熱(火)の概念,もしくはそれに関係する事項を悉皆的に調査した。 以上の作業の最中に,その副産物として,明治末期から大正期にかけての日本の学者たちによる,幕末の蘭学者の仕事に対する評価について,興味ある経緯を発見した。すなわち,蘭学者たちによる近代物理学における「エネルギー概念」の理解に対する,評価について経緯である。蘭学者たちによる「近代科学と漢学との折衷・融合の試み」を明治末期から大正期にかけての学者たちは「西洋のエネルギー保存則とは全く別に,同時代同一の結論に達した独創的な理論である」などと評価されていたのである。この問題を取り上げて,調査結果を物理学史通信刊行会編『物理学史ノート』No.5,1998年。に報告した。
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