1998 Fiscal Year Annual Research Report
気管支喘息児の健康づくり運動処方ノーム作成に関する研究
Project/Area Number |
09680099
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Research Institution | GIFU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
三井 淳蔵 岐阜大学, 教育学部, 教授 (00024224)
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Keywords | 気管支喘息 / 学校体育教材 / 運動負荷強度 / 酸素摂取量 / 最大呼出1秒量 / 好中球 / 好酸球 |
Research Abstract |
(1) 目的:小学校体育教材それぞれの運動強度・負荷量を測定し、気管支喘息児の学校体育への参加の可否・判走のソファレンスマニュアルを作成する。 (2) 方法:岐阜県内小学校2校の2年、4年、6年の各学年男子5名、女子5名、合計60名につき、一年間にわたり正課体育時の7教材の運動中の心拍数を測定した。また、同一児童に、自転車エルゴメーターを用いて、最大運動負荷強度を得るために漸増運動負荷テストを行った。同様に、気管支喘息男児35名(2年生12名、4年生15名、6年生8名、平均IgE695.6±291.3IU/ml)についても、最大運動負荷(100%HRmax)およびその80%HRmaxの運動を実施した。測定項目は、HR、VO_2、肺換気機能および末梢血白血球である。 (3) 結果:体育時の運動強度が80%HRmax以上の教材は、2年生鬼遊び、4年生男子サッカー、女子持久走、6年生男子バスケットボール、持久走、女子持久走であった。この時のHRは安静時HRの1.73倍以上であった。100%HRmax時の呼吸数は、4年生健常男児51.6±7.05回/分に対して、喘息男児は49.7±13.86回/分であり、両者の間に差は認められなかったが、喘息児の換気量は有意に少なく、しかも酸素摂取量も有意に低い値を示した。80%HRmax強度の運動負荷時においては、健常児と喘息児との間に差は認められなかった。健常児の肺換気機能(FEV_<1.0>)は、運動直後、15分後においても安静時より高い値を示していたが、気管支喘息児の値は、運動15分後においても15%以上低下したままであった。好中球は、運動直後に低下する傾向が喘息児に見られた。また、好酸球は100%HRmax 運動直後より、80%HRmax 運動直後に増加する傾向があり、同様な傾向がヒスタミンにも認められた。しかし、これらの値は全て安静時の値と比べて有意な差は認められなかった。 (4) まとめ:学校体育教材として、80%HRmax 以下の強度、即ち安静時心拍数の1.6〜1.7.倍程度までの強度の運動種目については、健常児と同じ扱いができるが、子ども達が夢中になって取り組むサッカー、バスケットボール、持久走などの種目においては、指導上の配慮が必要と思われる。
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