Research Abstract |
本研究では筋活動の抑制という点に着目し,随意筋収縮中に活動を随意にrelaxさせるという課題を用いて,随意運動の抑制制御について検討を加えた.本実験では上腕二頭筋及び三頭筋を被検筋とし,筋電図,発揮筋力,ゴニオグラムなどを測定した.当初の計画では,本年度においては主に成人における基礎的データを収集し,一般成人におけるrelaxationの一般的傾向を解析する予定であったが,従来用いてきた実験方法では,刺激はLEDの光刺激で提示し,発揮する張力や目標値はOscilloscopeの画面上に表示されているために両方に注意を注がなけれがならず,実験装置の改良を行う必要が生じた.そこで,本実験では,刺激提示システムを一掃し,Synchronized Function GeneratorとTime Programmerを組み合わせることによって新しい刺激提示システムを作りだし,筋収縮の速度やrelax刺激提示のタイミングを自由に変えることができるように改良した. 【実験方法および手続き】被害者(成人若干名)ごとに最大等尺性肘屈曲筋力を基に目標値を決定し,この目標値をOscilloscope(KENWOOD,CS-6030)の画面上に,Synchronized Function Generator(YOKOGAWA,FG110)とTime Programmerを用いて表示・制御した.さらに被検者が発揮する張力を同じ画面上に別の光点で表示した.上腕二頭筋および三頭筋から筋電図を導出すると共に,肘関節角度および被検者の発揮する張力を同時に計測した.データはすべてThermal Multi Dots Recorder(日電三栄,8M14)に記録すると共に,DAT-data Recorder(TEAC製,RD135T)にも記録し,後日A/D変換してパソコンに取り込み,解析を行った.なお,被検者には本研究の目的・方法・意義などについて事前に十分な説明を行い,実験に参加することを書面にて承諾を得た. 【結果】まだ十分な解析ができないが,光刺激による筋放電開始時間(premotor time)と比べると,筋放電抑制時間(刺激から筋活動が停止する時間)は若干長くなる傾向がみられた.さらに今後,実験条件ごとにくわしく解析を加え,抑制指令が与えられるタイミングや筋収縮速度を変化させることによって,relaxation反応に生じる変化についても考察を加えたい.
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