1997 Fiscal Year Annual Research Report
肥満度を決める要因としての筋線維タイプ特性の重要性についての研究
Project/Area Number |
09680110
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
的場 秀樹 徳島大学, 総合科学部, 教授 (20035166)
|
Keywords | 肥満 / 筋線組みタイプ / 筋重量 / 肥満ラット / 筋線維組成 / 筋線維タイプ横断面積占有率 |
Research Abstract |
肥満と骨格筋の筋線維タイプ特性の関係を明らかにすることを目的として、肥満に伴う骨格筋の組織化学的特性の変化を調べた。また,筋組織の全量の変化の指標とするため,筋重量の測定も行った。研究材料として遺伝的な肥満ラット(Zucker系)および同系で肥満を発症しない正常ラットを用いた。組織化学的検討は,ヒラメ筋,足底筋および,腹直筋についておこなった。筋重量は身体各部より摘出した15種類の骨格筋について測定した。 遅筋であるヒラメ筋では,タイプ1線維比率およびタイプ1線維横断面積占有率は,肥満ラットのほうが正常ラットよりも低値を示した。一方,速筋である足底筋と腹直筋では,両パラメーターとも,肥満ラットと正常ラットのあいだに顕著な差異は認められなかった。しかし,肥満ラットは正常ラットに比べ,タイプ2A線維比率と2A線維横断面積占有率がより高く,タイプ2B線維比率と2B線維横断面積占有率がより低かった。 これらの結果は,骨格筋の単位重量当たりの酸化能力は,低下よりはむしろ向上していることを示唆する。一方,筋重量には肥満ラットと正常ラットの間に顕著な差異が認められた。すなわち,肥満ラットの筋重量は,多くの場合,正常ラットの筋重量の約60%にすぎなかった。 これらから,少なくともZucker系の遺伝的肥満ラットでは,肥満は筋線維組成や筋線維タイプ横断面積占有率の変化に起因する酸化能力の低下とでなく,エネルギー消費を行う組織総量の減少と密接に関連していると結論した。
|
Research Products
(1 results)