1997 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の歩行能力とそのトレーニング効果に関するバイオメカニクス的研究
Project/Area Number |
09680135
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
金子 公宥 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (00067232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宍倉 保雄 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (60067254)
山崎 武 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (50067237)
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Keywords | 歩行 / 高齢者 / 力学的エネルギー |
Research Abstract |
力学的エネルギーの変換に着目して高齢者の歩行能力を明らかにするため、健康な高齢女性37名(65-85歳)と若年女性21名(18-25歳)を被験者に種々の歩行速度におけるパワーと効率を調べた。歩行は自由歩行、急歩およびペースメーカーによる規定速度歩行(高齢者は5段階、若年者は11段階の速度とし)とし、歩行中の前後および上下方向の地面反力をフォースプレートで測定するとともに、動作をビデオカメラで撮影した。地面反力から身体重心にはたらく位置エネルギーと運動エネルギーを計算し、両者のエネルギー転換から筋活動に由来する外的パワーと振子運動の効率(振子効率)を算出した。 1.筋活動由来の外的パワーは、歩行速度の増加とともに2次関数によく適合して増加し(r=0.826〜0.933)、その増加の割合が高齢群では若年群より大きい傾向にあった。 2.振子効率は上に凸の2次関数に適合し(r=0.526〜0.650)、その極大値(最大効率)は、若年群(63.5%)と高齢群(70歳群61.8%、80歳群64.5%)間にほとんど差がなかった。 3.振子効率が最大となる歩行速度(至適速度)は、若年群の78.5m/分に対し、70歳群では75.6m/分、80歳群では73.6m/分であった。 4.高齢群の振子効率は、歩行速度が至適速度からずれるにつれて若年群より顕著な低下を示し、その原因は、高齢者の歩調が高速度で大きかったためと考えられた。
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