1999 Fiscal Year Annual Research Report
競技スポーツ経験の人生に及ぼす影響について-大学女子競技者について-
Project/Area Number |
09680140
|
Research Institution | TOKYO WOMEN'S COLLEGE OF PHYSICAL EDUCATION |
Principal Investigator |
雨ヶ崎 俊子 東京女子体育短期大学, 児童教育学科, 教授 (40167953)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿江 美恵子 東京女子体育短期大学, 保健体育学科, 助教授 (30192842)
掛水 通子 東京女子体育大学, 体育学部, 教授 (20096663)
|
Research Abstract |
本研究は、競技スポーツ経験が人間の成長や社会行動にどのような影響を及ぼすかを明らかにし、生涯にわたるスポーツの実践の意味を検討することである。これは三年間で実施するものである。第三年目の本年は、T女子体育大学・運動部に所属していた卒業生を対象に調査を行った中から、一流競技者を除いた普通の競技者が、その後どのような人生を送っているかを、一流競技者と比較し検討を行った。 人生の中で重要な意味をもつ主として職業と結婚状況を検討した。大学卒業時の最初の職業選択時に、自分の経験したスポーツをどのように意識したかをみると、80.3%が何かの形のスポーツに関係のある職業を希望し、一流競技者とほぼ同様の結果である。教員免許状の取得は、94.1%であり、一流競技者の取得率90.8%に比して高い。現在の職業の全体の傾向は、1位体育教師、2位無職と続く。一流競技者にあるプロスポーツ選手は皆無で、実業団選手、体育関係公務員、団体職員は少ない。競技力の違いから生じるものであろう。転職経験のあるものは三分の一程度あり転退職の理由は様様である。結婚、出産と合わせて半数に達し、結婚、出産は職業の継続上大きな障害となっている。その他の理由では身分が不安定な採用が多くなっていることなどである。 結婚年齢は平均26.0歳であり、卒業年齢は結婚年齢とかかわりが深いことが解る。普通の競技者は一流競技者より早期結婚率が高く、平均年齢も低い。一方で未婚率も高い。このことは職業と関連しており、結婚、出産による退職率が高く30歳代の無職率の高さ、年齢と共に増えるパートタイムの職業という形となって反映している。高齢の未婚者は安定した職業(教師)を持っている者のみである。 大学卒業後も専門を生かす職業選択は厳しく、結婚後に職業を継続する上での障害は今なお困難である現況である。
|