選挙制度の変化に伴う政治地域構造の再編成に関する政治地理学的研究

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09680149
• Research Institution: KYUSHU UNIVERSITY
• Principal Investigator: 高木 彰彦 九州大学, 文学部, 教授 (90197054)
• Keywords: 政治地理学 / 選挙地理学 / 第41回衆議院総選挙 / 選挙区の地域特性 / 地域社会

Research Abstract

本研究は、(1)衆議院の選挙制度改正に伴う政治組織の再編と地域社会の対応を分析し、選挙制度改正に伴う政治地域構造の再編過程を明らかにし、(2)中選挙区制における選挙区と行政区域の不整合の問題や定数不均衡を地域問題として捉え、中選挙区制がかかえていた問題点が新制度においてどのように変化したかを考察するとともに、(3)中選挙区制以前の選挙区の変遷をたどることにより、選挙区という政治地域のもつ意味を明らかにし、諸外国の場合と比較検討する、という3点を目的とするものである。このうち、今年度はいくつかの地域を対象に(1)の事例研究を行い、次いで(2)の事例研究および定数不均衡の変遷を検討する予定で研究を進めた。
目的の(1)については、新聞報道の記事等による政党支部組織の動きの把握に努めるとともに、何人かの代議士にインタビューを試みた。そのうち、愛知県選出の代議士および秘書からインタビューを行うことがてきた。インタビューの結果、現職代議士がどの政党から選出されているか、都市的選挙区か農村的選挙区か、などさまざまな要因が錯綜しており、選挙区のサイズの変化に伴って政治組織や地域社会がどのように対応したのかについては多様であること。新政党ができては消えという流動的な状況が続いていることから、選挙区のサイズの変更に伴う固定的対応が困難であること、さらに、中選挙区制そのものが復活する可能性もあることから、従前の組織をそのまま残存させているケースが多いようである。そういった意味では、選挙制度の変更に伴う政治組織や地域社会の変化は予想以上に従前のままであると指摘できる。今後、地域組織の対応も含めて詳細に検討したい。
(2)については、個別地域の調査を行えなかった。今後の課題としたい。また、(3)については、昨年度中にデ一タ入力を終えた選挙区間の人口数の変遷と定数不均衡の経年的変化を、現在印刷中の報告書にまとめた。