1997 Fiscal Year Annual Research Report
センサス・データの年次間補正に基づいた人口移動の内外比較
Project/Area Number |
09680158
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 義孝 京都大学, 文学研究科, 助教授 (30115787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 孝 青山学院大学, 経済学部, 助教授 (10211749)
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Keywords | 人口移動 / サンセス / 国際比較 |
Research Abstract |
わが国では、1970・80年センサスと1990年センサスで、それぞれ採用されている人口移動の定義が異なっているために、センサスの報告書に掲載されているデータを、単純に比較して変化を論ずることはできない。そこで、かかる定義の違いを念頭においたうえで、両者を比較しうる方法の開発に取り組んだ。 具体的には、90年センサスにおける1985-90年の移動データを観測値とし、1965-70年と1975-80年の移動データの推計値を求めるための手続きを探った。特に、年齢階級別の地域間移動データの推計に力を注ぎ、純移動の国内での合計が、特定の年齢階級でゼロとなることを前提とした。そして、暫定的に得られたわが国の9地域間移動の推計値を用いたシフト・シェア分析の利用によって、同様のデータを観測値として入手できるスウェーデンとカナダの事例も取りあげ、3カ国の1970・80年代の人口移動転換の国際比較を試みた。 その結果、3カ国ともに、第二次大戦直後のベビ-ブームとその後の出生率の低下に起因する若年人口の供給数の変動が、労働市場の供給側の要因として、移動転換に大きな影響力を及ぼしていたことが明らかになった。ただし、スウェーデンでは周辺から中心への移動流で、カナダでは中心から周辺への移動流で、また日本では1970年代の転換では周辺から中心への移動流で、80年代の転換では中心から周辺への移動流で、有意な変化が生じてる。さらに、そのような人口学的要因は、労働市場の需要側の要因である、産業・職業別の就業者数の変化と密接に関連したいた事情も判明した。
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