1997 Fiscal Year Annual Research Report
時間次元を明示的に扱い得る地理情報システムの都市地理学への応用
Project/Area Number |
09680161
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
小方 登 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (30160740)
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Keywords | 地理情報システム / 時間次元 / 都市地理学 / デイリー・リズム / Sintonの図式 / 時空複合データ・モデル |
Research Abstract |
本研究では、明示的に時間次元を扱うことのできる地理情報システム(GIS)の開発と時空間データベースの編集を通して、都市地理学の研究に多様なかたちで時間次元を導入し、都市の空間構造に生起する過程を明らかにすることを目指している。研究主題として、24時間周期の変化すなわちデイリー・リズムに関するものと、より長期的な変化たとえば郊外化や地価変動などに関するものが考えられるが、本年度は、前者について事例研究を行った。人口分布のデイリー・リズムを明らかにするために、1980年および1990年に実施された京阪神都市圏パーソントリップ調査の磁気テープ・データを使用し、3次元時空間データとして編集した。 以上の事例研究と平行して、GISにおける時間次元の重要性について、原理的な検討を行った。GISにおける時間次元の導入を包括的に扱ったものとしてG.Langran(1992)″Time in Geographic Information Systems″があり、そこに示された諸概念で、本研究に役立てうるものを検討した。Sintonが提案した地図データ表現の枠組み、すなわち時間、位置、属性の三者のうち、一つが固定され、第二のものが制御され、第三のものが測定されるという概念、Langran自身が提唱したベクトルベースのGISにおいて地理フィーチャーを効率よく蓄積・検索できるspace-time composite(時空複合)のデータモデルなどが有効であると考えられた。
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