1998 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスにおける地域政策の展開と小売商業の地域システムに関する地理学的研究
Project/Area Number |
09680170
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Research Institution | KANSAI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊東 理 関西大学, 文学部, 教授 (70116309)
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Keywords | イギリス / 小売商業の地域政策 / 小売商業の地域システム / タウンセンター / スーパーストア / 小売商業の離心化 / 消費者購買行動 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に検討したイギリスの小売商業の地域政策の変遷過程に関する検討結果を踏まえ、第2次世界大戦以降の小売商業の開発と小売商業の地域システムの動向について考察するとともに、研究の総括(報告書作成)を行った。本年度の研究結果の概要は、次のようである。 1970年代までは、既存の小売商業地区の階層的な地域システムの存続・強化すべく、タウンセンターなどでの小売商業施設の開発など小売商業地の再生化をめざした事業が活発に行われ、一方郊外地域での小売商業の開発は計画的規制によってあまり進展しなかった。 地域計画に関する立地制限的規制が緩和された1980年代になると、郊外型ショッピングセンター、スーパーストアなどの郊外型小売商業施設は急速な開発・発展をみることとなり、その結果小売商業の離心化、小売商業立地の多様化が進展することとなった。 こうした小売商業の離心化は、大都市圏を典型に、消費者購買行動の分極化を進展させることとなり、小売商業の地域システムは、既存の小売商業地区の地域システムと新しい大規模な小売商業施設のネットワーク、の二つのシステムが併存するものとなった。 小売商業の地域システムの動向は、一般的にはモータリゼーションへの対応が優れている新しい小売商業施設のネットワークが相対的に優勢となってきた過程とみることができる。ことに、最寄品部門における消費者購買行動の分極化を進めてきたスーパーストアの地域へのインパクトは、普遍的かつ大きく、その結果ディストリクトセンター以下の階層に位置する既存の小売商業地区では、衰退化が進むこととなった。
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Research Products
(1 results)