1997 Fiscal Year Annual Research Report
隆起海棲生物殻化石を用いた南海トラフにおける海溝型巨大地震履歴の解明
Project/Area Number |
09680178
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
前杢 英明 山口大学, 教育学部, 助教授 (50222287)
|
Keywords | 海岸隆起 / 海棲生物 / 南海トラフ / 巨大地震 / 海溝 / 完新世 / 地殻変動 / 室戸岬 |
Research Abstract |
本年度はまず現地で調査地点の選定行い、調査地が国定公園内であるため、関係諸機関や地権者の調査許可証を取得した。現地作業は9月中旬に室戸岬において、海抜0〜9m前後にわたって岩礁に付着する海棲生物石灰質殻の化石群体より試料の採取を行った。試料の採取は、本研究費によって作成したジオアクト社製の小型エンジンドリルとダイヤモンドピット付き40cmシングルコアチューブを用いて、直径5cmの連続コアサンプリングを行った。試料は四ケ所で7本採取し、コアの総延長は約210cmであった。コアは肉眼による堆積構造の観察を行った後、X線によるより詳細な堆積構造の分析を行った。これは医療用CTスキャナーを利用してコアを1mm間隔で断面撮影し、映像をデジタル化してパソコンで三次元画像を合成する方法で、コアを破壊せずに任意の方向からコア内部の堆積構造を分析できる利点がある。現在データの解析中であるが、当初の予想通り長さ数十cmのコアはさらに数センチ程度の堆積ユニットに区分できることが数点の試料で確認された。次にコアの年代幅を碓認するため、コア最深部およぴ最浅部の^<14>C年代測定を16点行った。微量の試料で測定できるAMS法によって測定したため、標高9mで採取したコア最深部から、これまで知られていた最も古い年代よりさらに500年程度古い年代値が得られ、完新世地殻変動様式の詳細な復元に貢献できそうである。来年度はコアの堆積構造の解明を行った上で、各堆積ユニットの年代測定を行い、地震履歴を明らかにしていく。また、今年度採取できなかった標高の低い化石群体の試料採取も引き続き行う予定にしている。結果がある程度まとまった段階で学会などを通して成果を公表していきたい。
|