1999 Fiscal Year Annual Research Report
精神運動スキル習得プロセスの教授行為による変容可能性に関する実証的研究
Project/Area Number |
09680212
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Research Institution | Fukui University |
Principal Investigator |
梅澤 章男 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (70151925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野嶋 栄一郎 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (20000086)
市原 信 東京家政学院大学, 人文学部, 助教授 (80256289)
宗倉 啓 福井大学, 教育地域科学部, 助教授 (20154685)
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Keywords | スキル習得 / 精神運動領域 / タキソノミー / 教授-学習過程 / 身体情報 |
Research Abstract |
これまで教授-学習過程に関する教育研究は,ややもすれば認知領域の学習について行われており,精神運動領域あるいは情意領域の学習については十分な検討が行われてこなかった。そこで,本研究は精神運動スキルの教授-学習過程において教授行為が及ぼす効果を実験的に明らかにすることを目的とした。精神運動スキルの素材として,本研究では,1998年12月に告示された新学習指導要領の体育に導入された予定の「体ほぐし」を取り上げた。本研究では,まず体ほぐしの教育目標について文献的な検討を行った。その結果,体ほぐしは何を目的として実施するのかという教育目標についても,教育研究者間で意見の不一致が認められた。しかし,体の力を抜くこと,つまりリラクセイションを目標に含むという点については研究者の考えに共通点が認められた。そこで,実験的研究においては,リラクセイションを教えることが,姿勢にいかなる影響を及ぼすかを検討した。まず,被験者の安静時と作業時の座位姿勢における姿勢の歪みを三次元的に測定した。この三次元測定により,体幹部のねじれを定量的に測定することができる。次に,体ほぐしの体操を実施し,その効果が安静時と作業時の座位姿勢に及ぼす効果を検討した。その結果,短時間のリラクセイションによっても,姿勢の歪みが改善する被験者が存在することが明らかにされた。長年蓄積されてきたくせであっても,リラクセイションによって,学習者は彼自身の姿勢の歪みに気づくことができることを示している。以上の実験的なデータに基づき,学校教育の中に子ども達が心地よいと感じる体験、すなわちリラクセイションを組み込むことが教育効果を持つことが結論できた。
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[Publications] 梅沢 章男: "オープンフィールドにおける自己調整の生理心理学的研究:呼吸調整を中心にして"バイオフィードバック研究. 第24巻. 22-27 (1997)
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[Publications] 竹内 裕美,寺井 堅祐,梅沢 章男: "ストレス刺激に対する生理的反応性の個人差とアレキシサイミア人格特性"バイオフィードバック研究. 第26巻(印刷中). (1999)
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[Publications] 梅沢 章男: "教育工学と生理心理学"山崎勝男・藤沢清・柿木昇治(編) 新生理心理学 第3巻 北大路書房. 21章. 250-263 (1998)
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[Publications] 梅沢 章男: "覚醒のコントロール"上田雅夫監修 スポーツ心理学ハンドブック 実務教育出版. (印刷中). (1999)
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[Publications] 宗倉 啓: "運動学習"武田清彦・高橋健夫・岡出義則(編) 体育科教育学の探求-体育授業作りの基礎理論 体修館書店. 103-119 (1997)