Research Abstract |
本年度は,「学習者の自己教育力を高めるための自己意識形成支援システムの開発」と題する研究(3ヶ年)の初年度に当たるもので,この研究全体の基本部分をなすものである。すなわち,学習者の自己教育力を高める教授・学習過程においては,従来からの学習モデルとしては,条件づけに見られるように強化の原理にもとづくものが多いが,本研究は,このような強化の原理による行動変容を直接的に期待するものではなく,むしろ,抽象的で曖昧な自己の持つ意識・概念を分かりやすく表現し,思考活動を通して,問題を自ら意識させ,反省を促すことにより,行動変容を自然な形で起こさせるような柔軟な学習モデルを前提としている。この視点にたった基本的な方法論は、二次元イメージ法として提案されている。これは,イメージシートと呼ばれる平面上に,各種の活動を通して概念を表わすキーワードが記述されたカードを配置して考察するものである。最初は,イメージ軸(横軸)の視点でカードに記述されたキ-概念について考え,そのカードを順序化し,その後この順序を固定して,次に,イメージ軸(縦軸)の視点でその重み付けを行う。その後,シート上の最右端および最左端のカードの名称とその配置理由を書き、続いて最上端,最下端のカード(それぞれが3枚以上ある場合は,理由の書きやすいものなどを任意に選び,最大でもそれぞれが3枚以内)の名称や配置理由を書く。さらに,この作業全体を通じて気づいたことなどを記述してイメージシートが完成する。このシートをもとに,他者の配置やその理由などを参考にして,討論などの意見交換を含めた授業展開を行うが,システム化を行う際の具体化(手法化〉も必要であった。このようなことから,教育的意義について分析するとともに,それを具体化するための授業への適用とそのシステム化,その授業分析のための初期システムを試作し,その成果は順次発表している。
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