1997 Fiscal Year Annual Research Report
特殊教育の授業における教師-生徒の会話への語用論的アプローチ-実践的介入の試みとデンロベースの作成
Project/Area Number |
09680251
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大井 学 金沢大学, 教育学部, 教授 (70116911)
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Keywords | 特殊教育 / 教師 / 会話 / 語用論 / 行動問題 |
Research Abstract |
特殊教育諸学校のクラス担任の教師を対象に、微視的なビデオテープ分折の反復を通じて授業場面における生徒との会話の変容を図る語用論的な介入を行い、会話の不全とその修復過程の語用論的特徴の記述、修復に伴う学習や対人関係に及ぼす効果を検討した。教師の所属は盲学校1名、聾学校2名、養護学校(精神薄弱)12名、同(肢体不自由)6名、同(病虚弱)2名の計23名であった。生徒の障害の内訳は、弱視を伴う軽度精神遅滞児1名、難聴児2名、重症心身障害児1名、重度又は最重度精神遅滞児12名、中度精神遅滞児5名、自閉症児2名で、所属は幼稚部2名、小学部13名、中学部5名、高等部3名であった。 介入の焦点となった会話上の不全は以下のように分類された。従来指摘されてきた教師と生徒の間の不均衡(均衡化による自発性の拡大)9名、教師からの伝わらないメッセージの改善(子どもからの理解可能な反応)4、子どもの要求実現を巡る交渉可能性の明示(「泣き」、攻撃の減少)4´、気づかれない誤解の除去(攻撃行動の統制)、行動的ターンへの割り込み(ターンの尊重による「泣き」の減少)、非実用目的の会話の尊重(伝達意欲の拡大)、非実用言葉ゲームからの脱却(実用的伝達の拡大)、会話リズムの微調整(相互作用の出現)、子どもの行動に対する大人の随伴性の形成(成功しなかった)、の6種が各1名であった。 なお、ビデオテープ分析が奏功したケースの方が多数であったが、教師自身が会話における自己の反応を自覚できなかったり、自分自身の自然さを利用できないため、わずかしか効果を得られないケースも少なからず存在していた。
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Research Products
(1 results)