1997 Fiscal Year Annual Research Report
教員養成系学部-大学院における教師教育のための美術教育実践の研究
Project/Area Number |
09680252
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山田 一美 金沢大学, 教育学部, 助教授 (80210441)
|
Keywords | 美術教育研究 / 授業分析 / チゼック / 子どものイメージ / 想像 / 教授方法 / 実践報告分析 / 教師教育 |
Research Abstract |
1.本年度計画の概要:本年度の計画は授業記録「チゼック授業」内容を整理・分析することにあった。研究要点は(1)先駆的授業記録「チゼック授業」内容(20事例)の整理と、その指導方法の特徴分析(2)授業展開・構造の復元及び特徴分析(3)「特徴分析マトリックス」を用いたイメージ形成・造形表現・教師の働きかけに関する質的分析、の3点である。 2.本年度の成果:研究推進の利便を図り、授業番号と発言者番号を付した。対象授業は「サンタクロースとクラムパス」以下20事例。分析では文化背景の違いが問題となった。つまり、授業中の対話にみる文化背景にはキリスト教カトリックの祝祭にまつわる習慣や、冬の到来・春(夏)の復活に代表される自然界のリズムを内包した習慣の理解を必要とし、次年度の課題ともなった。その教授方法上の特徴は今日的視点に照らしてみると疑問視される点が多いのだが、子供達の現実のイメージ力の範囲と現実を見据え、彼らを美術上の価値基準の上に存在させようとする実践的な解決策のための一方式を提案しつづけたものと理解することができた。授業活動の全体は、(1)「想像」の段階(2)形どり(描画)の段階(3)色彩の段階(4)講評に大別できた。この一連の活動過程において、チゼック教授法の特徴は子供がイメージを眼前の画用紙に形象化し、描画していくまでの想像過程に関わる「連想法」にあった。働きかけ方の手順は、はじめに全体をイメージさせ、徐々に細部をそのに関連づけて連想、発見させていくものであった。つまりは「考えること」(イメージすること)を繰り返し、子供たちとの対話を通して、イメージの「連想法」を学ばせているのであった。今後、これら(1)〜(3)の成果をもとに、平成10年度の研究計画である我が国の実践報告分析(60事例)をすすめていくこととする。
|