1999 Fiscal Year Annual Research Report
明治近代国語作文教育における男女同文化過程についての基礎的研究
Project/Area Number |
09680259
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
母利 司朗 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (10174369)
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Keywords | 明治 / 作文 / 男女 / 書牘 |
Research Abstract |
当初の研究計画に基づき、本年度は次のような研究を実行し、成果を得た。 1.昨年度に引き続き、教科書資料、特に、京都府における明治初期の作文教科書資料の実態を調査した。 2.1に基づき、明治初期の男女別作文教育の実態を解明する上で有益と思われる作文教科書関連原本(『明治期小検査票他一括(仮称)』・『京都府御布令書』明治初期分)を、継続的に収集した。 3.以上の成果をふまえ、平成9年度からの課題研究のまとめを含め、次のような考察結果および成果を得た。 明治初期において、文部省『書牘日用文』は、同様の文部省編纂教科書である『小学読本』にくらべ、さほどの流布をみなかった。それは、『書牘日用文』が、慣習の根強い書簡文の文体を改めようとした意図を持つ教科書であったことによるところが大きい。文部省編『書牘日用文』にたいする副読本の出版は、当時の出版状況を知ることのできる『図書局書目』によるかぎり、きわめて少なく、この考察結果を裏付けるものとなっている。その中で、調査の過程で見つかった、明治15年刊・細木豊吉著『文部省編纂 書牘字解』は、従来知られていなかった『書牘日用文』の副読本の一つとして、貴重である。 なおこれらの考察は、「翻刻 『文部省編纂 書牘字解』-国語教育前史論6-」(『岐阜大学国語国文学』26・平成12年3月発行)として、まとめられた。 今後、このような近代作文教育・国語教育の萌芽的な姿を、江戸期のいわゆる従来物資料などによって探り、前近代から近代への連続性を解明していきたい。
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