1998 Fiscal Year Annual Research Report
高等学校家庭科住生活学習における高齢者を取り入れた地域教材の開発と授業研究
Project/Area Number |
09680260
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小川 裕子 静岡大学, 教育学部, 助教授 (20136154)
|
Keywords | 教材開発 / 授業研究 / 高齢者の住生活 / 大学生の住生活 / 個人的生活空間 |
Research Abstract |
本研究は、高等学校家庭科の住生活領域の学習において、高齢者の生活を取り入れた地域教材の開発と授業実践研究を実施し、教材や学習の進め方について示唆を得ることを目的としている。本年度は、これまでに筆者が収集もしくは研究した成果を教材として取り入れた形で、具体的に授業研究の実施校において一つの単元の学習指導計画を立て、授業研究を実施し、教材等の価値や授業の進め方について検討すること、そして、これまでの研究成果をまとめることが課題である。 教材としては、まず、2年前に授業研究実施校近くのケアハウスにおいて実施していた住み方調査結果の中から、高齢者が「自分らしい住まい」を作り上げている様子のわかる例を数例取り出した。また、学習者である高校生の発達段階として、卒業後の進学・就職にあたってひとり暮らしを控えている時期であることから、「個人的生活空間」を手がかりに住居を考えていくことが適当と考えた。そして、住まいの形式としてケアハウスとほぼ同様な空間を有し、かつ、高校生の近未来である大学生のひとり暮らしについての事例を、さらに教材として加えることにした。そして、最終的に高校生自身が自分の近未来のひとり暮らしの住生活の様子を平面図に描くことも含めて、2コマ分の授業計画を立てて実施した。 授業実践の結果、生徒の感想等から個々の教材の価値を検討すると、(1)大学生のひとり暮らしを紹介したビデオ教材は、高校生の「自分らしい住まい」の学習に対する興味・関心を高めることに大きく寄与した。(2)ケアハウスの高齢者の自室での生活(写真)は、住まいの「自分らしさ」についての理解を深めるとともに、高齢者についての理解を豊かにした。(3)時間数の関係から、高校生が自分の近未来のひとり暮らしの様子を平面図に描く作業時間が充分には確保できなかったが、これまでに獲得した知識等を活かして自分のものにするには、この作業時間こそ重要である、といったことが明らかになった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 永原朗子 他: "父母の家庭科観(第2報)-学習指導要領改訂前後の調査を通して-" 日本家庭科教育学会誌. 第40巻・第2号. 7-8 (1997)
-
[Publications] 小川裕子: "教科教育における福祉教育のカリキュラム編成と実践" 村上尚三郎他編著『福祉教育論』北大路書房. 82-89 (1998)
-
[Publications] 小川裕子: "「家族・家庭生活」領域の指導の工夫-実習・体験学習-" 家庭科教育実践講座刊行会編『Asset.第2巻 家族と共につくる家庭生活』. 246-249 (1998)