1997 Fiscal Year Annual Research Report
中学校英語基本構文の定着過程とそれを支援する認知能力に関する実証的研究
Project/Area Number |
09680269
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
伊東 治己 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (90176355)
|
Keywords | 教科書分析 / 基本構文の学習 / 教科書データ・ベース / 中学校英語 / 言語習得過程 / 認知能力 / 文法学習 / 実証的研究 |
Research Abstract |
研究初年度に当たる本年度は、申請時に設定した研究実施計画に基づき、三つの作業を平行して行った。まず第一に、平成9年度版の中学校英語教科書7種(3学年分計21冊)に含まれる英語表現をすべてコンピュータを使って電子ファイル化し、単語単位でその用例をすべて検索できる教科書データ・ベース(第一次資料)を作成した。その結果、例えばstudyという基本語彙に関して、それが使用されている教科書中の用例をすべて瞬時に検索することが可能になった。次に、中学校1年次の教科書に限定して、その中で使用されているすべての英文に関して、その構文特性(文の種類・主語の種類・動詞の種類)を分析し、その分析結果を電子ファイルの形で観点ごとに入力した第二次資料を作成した。その結果、例えば主語が三人称単数で、一般動詞を伴った疑問文をすべて瞬時に検索することが可能になった。基本構文ごとの主語と動詞の間のコロケーションを把握する上で貴重な戦力になっている。第三に、県内の二つの中学校で学ぶ1年生を対象に、基本構文の定着度を測定するテストを2回実施した。1回目は1学期復習テストとして2学期当初に、2回目は1・2学期復テストとして3学期当初に実施した。3回目を1学年復習テストとして4月当初に実施の予定である。この定着度測定テストでは、第二次資料に基づき、同一の基本構文に関して基本形と応用形の二種類の問題文を作成し、その定着度のずれを分析した。その結果、両者の定着度のずれは1回目のテストにおいてすでに顕著に現れていることが判明した。このことは内容語の種類に応じて基本構文の定着度も大きく左右されることを示していることが判明した。このことは内容語の種類に応じて基本構文の定着度も大きく左右されることを示している。当然、学習者の認知能力が大きく関与していることが十分に予測される。本年度は、本年度の追試を試み、基本構文の定着過程ならびに定着度のずれに関与する認知能力をより詳しく分析する予定である。
|