1997 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合衆国における音楽標準カリキュラム成立・実施過程の研究
Project/Area Number |
09680276
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
筒石 賢昭 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (50171632)
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Keywords | 音楽科教育 / 音楽科カリキュラム / 全米標準カリキュラム / ナショナルスタンダード |
Research Abstract |
研究の初年度として,MENC(全米音楽教育者会議)の会議や文献の分析,並びに「全米芸術教育標準」(National Standards for Arts Education)の議長であったミシガン大学元教授のP.L.Lehmanとのインタビューも行った。(ミシガン大学,岡山での国際音楽の日のシンポジューム) 「標準」の歴史的背景として,94年3月に成立した教育改革法『Goals 2000: Educate America Act』は州の法令による基準化・共通化と教室での教育実践という2つの面に沿った連邦の教育の枠組みの方針を示した。多くの現場の教師達の反応はこの「標準」は内容的には素晴らしいものの,特に小学校で週2時間程度の授業で実際にこの内容をこなせるかという問題点を指摘した。そこでMENCは,「標準を学ぶ機会」を大切にしようということになり,積極的に研修会やシンポジュームを企画している。 「標準」の基本的なポリシ-として,すべてのアメリカの児童生徒(K-12)が,芸術において知るべき事柄と出来るようになることを重視した。 「標準」の基本的なポイントとして,以下の5点が挙げられる。 (1)4つの芸術分野の基礎的なレベルでコミュニケ-ト出来る。 (2)4つのうち少なくとも一つの芸術分野において十分にコミュニケ-ト出来る。 (3)現在の芸術作品の基礎的な分析力を伸ばす。 (4)様々な文化や歴史から芸術の典型的な作品について,洗練された知識を持つ。 (5)様々なタイプの芸術の知識や技術を関係づける。 「標準」は音楽教育の総合的,統合的なカリキュラム開発と言える。演奏(パフォーマンス)だけではなく音楽を歴史的・文化的側面からも追求するカリキュラムは,多文化的音楽教育を支える一つの大きな潮流ともなろう。
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