1997 Fiscal Year Annual Research Report
表現運動・ダンス領域における学習材としての郷土芸能の可能性を探る
Project/Area Number |
09680281
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
高橋 るみ子 宮崎大学, 教育学部, 助教授 (50197191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 靖 宮崎大学, 教育学部, 助教授 (60213295)
中間 千恵子 宮崎大学, 名誉教授
佐々木 昌代 宮崎女子短期大学, 助教授 (20270150)
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Keywords | 表現運動 / ダンス課題学習 / 創作と伝承 / 郷土芸能 / 教材研究 |
Research Abstract |
初年度は、従来「学校行事」「創意の時間」「必修クラブ」などで扱われることが多い郷土芸能が、新たな視点(地球の文化を学習する)に立つことで、"伝承"と"創造"の両ベクトルを有する表現学習の教材になり得ることを、宮崎県内の全小学校(291校)を対象とした実態調査(回収率58.4%)と事例研究(『高千穂夜神楽』を題材とした作品と評価)かた実証・報告した(第44回舞踏学会)。アンケートからは、すでに郷土芸能の取り組みの56%が体育科の学習の中で扱われていながら今だその指導の40%を保存会に頼っているといった実態や、低い実施率(43.3%)および地域差(西臼杵郡や西諸県郡は高く、宮崎市郡は低い)が明らかになった。また町名や地区名を冠しただけの(背景に地域特有の文化を持たない)「音頭」や「踊り」が多く(38.3%)、レクレーションダンス的な取り組みの実態も判明した。よって"地域の芸能を伝承する"目的で広く県内で取り組まれ実践頻度も高い『棒踊り』や『臼太鼓踊り』、同じく実践頻度は高いが踊られる地域が県北の臼杵郡内に限られる『ばんば踊り』や『神楽』について、創作学習の教材としての可能性を探ることとした。一方大学生を対象としたダンス課題学習(『高千穂夜神楽』の動きやイメージから設定した課題を解決する)の実践からは、提案した郷土芸能の学習が、「イメージの広がり」「特徴的な動きを自分なりに表現できる」といった"創作"のよさを保証しながら「題材の芸能に対する理解や興味を高める」「男女で楽しく取り組める」方法であり、合わせて従来の郷土芸能の学習が直面している問題(保存会がない、指導できる教員がいない、時間がない、子どもに興味・関心がない)を解決する方法であることが明らかになった。続く次年度は、素材研究を行った『臼太鼓踊り』と『神楽』についてさらに教材研究を進め、県内の小中学校の表現運動・ダンスの授業実践へつなぐ。
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