Research Abstract |
本研究は,平成8年度までに行ったファジイ理論(メンバーシップ関数とファジイ測度)による客観的授業評価の分析,並びにクラスター・因子分析による教授行動分析の比較検討結果を基礎とし,中学・高校,大学の「情報教育」の評価の在り方を分析するものである。そこで本年度は,情報教育の学習者側から見た授業評価の確認と複数(中学;2校,高校;2校,大学;3校)の授業を生徒・学生個人,グループ,そしてクラス全体の学習定着度と授業評価を分析した。 分析法は,クラスター・因子の両分析と,ファジイ分析では,メンバーシップ関数とファジイ測度にファジイグラフの基礎となるファジイ・クラスター分析である。 その結果,まず前回までの研究結果である,『どの教育段階でも「情報教育」の学力向上に必要なこととして,「興味・関心・意欲・態度」という「情意面」と「知識・理解」という「知性面」が基本構成』が裏付けられた。 次に,「情報,コンピュータ・リテラシー」の意義を踏まえた教師とそうでない教師の場合の実践では,アンケートを参考に,メンバーシップ関数とファジイ・クラスターの試験分析で見ると,リテラシーの意義を踏まえたベテラン教師がレディネスのあまりない状態の生徒・学生を指導する場合が最も学習定着度が高く,逆にそうでない教師が外的動機付けの高い生徒・学生を指導すると定着度は最も低くなった。 この段階では,「情意面」とは教師自身の人間性,「知性面(含;教科指導力)」とは専門内容の平易な教授,リテラシーの意義を踏まえた力,であることを示している。 今後は,この中間報告をもとに,情報教育の評価尺度の設定を,各学習者の因子,ベテラン教師等の因子と併せて,ファジイ・クラスター分析・ファジイグラフ及びファジイ積分により,実践による学力定着の様子も含めた分析を行っていく予定である。
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