1999 Fiscal Year Annual Research Report
外国人学習者の日本語ワープロ誤入力の分析と外国人用漢字変換辞書の開発
Project/Area Number |
09680296
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
土屋 順一 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 助教授 (10262213)
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Keywords | 漢字変換辞書 / CAI / キーボード入力 / 長母音と短母音 / 音声教育 / 誤用分析 / 破裂音 / 日本語学習歴 |
Research Abstract |
外国人学習者173名が日本語をキーボード入力する過程をビデオテープに記録して、音韻面から分析した結果、以下のような成果がえられた。 1 外国人学習者の在日歴と日本語キーボード誤入力率の間の相関関係はよわく、在日歴がながい学習者でも、基本的な語彙の音韻を正確におぼえていない。 2 来日前に3年以上主専攻として日本語を学習した者の誤入力率はひくいが、1〜2年程度学習した者の誤入力率と、未習の者の誤入力率の間に有意な差はない。 3 非漢字圏の学習者よりも漢字圏の学習者の方が誤入力率がたかい。漢字圏の学習者は音韻を正確におぼえないまま、意味理解をすすめているとおもわれる。 4 長母音と短母音の区別は、学習者の母語に関係なく誤入力率がたかい。これは、日本人の発話の音声的特徴にも原因があるとおもわれる。 5 破裂音の有声・無声の区別は、特定の母語話者の誤入力率がたかい。 6 摩擦音、破擦音は、学習者にとって、発音がむずかしいが、誤入力率はひくい。 分析の結果えられた、外国人が誤入力しやすい文字列を、パーソナルコンピュータの日本語変換システムに登録することによって、外国人学習者の日本語入力を支援できることがあきらかになった(外国人用漢字変換辞書)。外国人用漢字変換辞書には、基礎語彙7900語に対して、長母音と短母音の区別など、約10000の誤入力候補を登録した。完成した辞書はフロッピーディスクに収納して近日中に希望者に配布する予定である。 また、外国人学習者による日本語キーボード入力の過程を記録した、約100時間、67000字分のビデオテープは、今後、音韻以外の面からの誤用分析の素材となるであろう。
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[Publications] 土屋順一、土屋千尋: "来日時未習者と既習者の日本語語彙の誤記憶の比較対照"第1回日本語教育・日台関係・日本研究シンポジウム報告書. (予定). (2000)
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[Publications] 土屋順一: "中国語・朝鮮語話者による日本語キーボード入力の音韻面からの分析"第4回国際日本語教育・日本研究シンポジウム報告書. 29-34 (1999)
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[Publications] 土屋順一、土屋千尋、杉田幸代: "外国人のための母語別日本語変換辞書の製作に関する研究"第2回「日本語教育とコンピュータ」国際会議報告書. 64-69 (1999)
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[Publications] 土屋順一、土屋千尋: "外国人学習者のための日本語コンピュータ入力の支援の方策-母音の長短-"21世紀における日本研究. 266-270 (1999)
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[Publications] 土屋順一: "外国人学習者のための日本語キーボード入力過程データベース"日本教育工学会研究報告集. JET98-6. 1-6 (1998)
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[Publications] 土屋順一、杉田幸代: "外国人日本語学習者によるワープロ入力過程の音韻面からの誤用分析"平成10年度日本語教育学会秋季大会予稿集. 141-146 (1998)
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[Publications] 土屋順一、土屋千尋: "外国人学習者のための電脳内革命"第10回日本語教育連絡会議総合報告書. 66-70 (1998)