1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680309
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
齋藤 尭幸 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (70113561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 眞 昭和大学, 医学部, 講師 (30138474)
行広 隆次 北海道大学, 文学部, 助手 (60240628)
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Keywords | 特別養護老人ホーム / 老人病棟 / 日常生活動作 / 日常生活行動 / 生活の質 / 計量化 / 多変量解析 / 高齢者 |
Research Abstract |
今年度はある病院の協力を得て、老人内科病棟の臨床データの収集とその分析を行い、昨年度に実施した特別養護老人ホームの臨床データの分析との比較を行ない、来年度に総合QOL指標を構築する基礎とした。測定項目群の選定と評価方式の決定 老人内科病棟(閉鎖病棟)の患者に関して、日常生活動作(ADL)、日常生活行動(BDL)および知的退行を測定するために使用する症状項目を検討した。その結果、昨年度の設計した特別養護老人ホーム(特養と略)の入所者に対する症状項目群、および症状の評定方式を変更する必要が判明した。ADL、BDLの項目群は、3段階の順序カテゴリ尺度で測定する方式が精度上よいことを見出した。以上の知見は、特養入所者と老人病棟患者は、症状内容は異なり、また症状の進行または変化が緩やかである等の理由による。 臨床データの収集とデータファイルの作成 老人内科病棟(閉鎖病棟)の患者に対して、半期ごとに上記の測定方針に基づいて、臨床データの収集を行った。知的退化の程度を、改訂長谷川式簡易知的機能評価スケールで測定し、ADLについて9項目、BDLについて9項目を選定した。すべての項目は、症状の悪化程度を示す3段階の順序カテゴリーで記述した。ファイル書式を設計し、カテゴリに変換したデータファイルを作成した。 データの予備的検討 各期データについて、単集計とクロス集計によりデータの把握を行い、カイ自乗統計量を用いて、測定項目間の連関構造の予備的な統計分析を行った。その結果、各期間の変化の有無および、病棟の内装変更に伴う環境変化、入院生活技能訓練への参加、音楽療法に参加等が、上記の連関構造に影響を及ぼす影響は小さいことを見い出した。また通期に共通の連関構造が存在する可能性はあるが、各期ごとの時系列的な変化を分離することは、小サンプルのために、困難であることが判明した。 多変量データ解析 各種の手法を用いて分析したが、小サンプル数に起因するパラメータの不安定性から、結論しにくいことが多かった。比較的に安定した結果は、主成分分析とクラスター分析によって導出された。その結果、アルツハイマー型老年痴呆を特徴する症状群C1(知的退行、人物誤認、弄便、異常行動)と、最も介護を要する2つの症状群、C2(排泄、着脱衣、入浴、移動)、C3(麻痺、食事、入浴)が分離し、精神医学上の異質性を示唆することが見い出された。詳細は省くが、昨年度の特養の臨床データの分析結果と、異なる知見が得られた。
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