1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680376
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
相澤 輝昭 広島市立大学, 情報科学部, 教授 (90285437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目良 和也 広島市立大学, 情報科学部, 助手 (50285425)
黒澤 義明 広島市立大学, 情報科学部, 助手 (50264940)
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Keywords | 文末表現 / 文体的単調さ / 文生成 / 自然言語処理 |
Research Abstract |
日本語の書き言葉における文末表現は、例えば「〜だ。〜だ。〜だ。」のように、同じ音が続いて単調になりやすい。これは、日本語の基本構文では、述部が文末にくることに起因する。本研究は、口語体・常体の書き言葉を対象に、文章推敲の一手法として、この種の単調さを解消する手段について考察する。 より柔軟な単調さの尺度を求めるために、吉行淳之介の小説『夕暮まで』全文と、丸谷才一のエッセイ「男もの女もの」の約半分をパソコンに入力し、KWIC索引を作成するとともに、文末2文字の連続頻度を調査した。 『夕暮まで』では、文末2文字の異なりは117であり、文末2文字の2〜6連続の、異なりパターン/総パターンは、それぞれ、617/1,422、1,190/1,421、1,388/1,420、1,416/1,419、1,418/1,418であった。 一方『男もの女もの』では、文末2文字の異なりは326であり、文末2文字の2〜5連続の、異なりパターン/総パターンは、それぞれ、1,108/l,630、1,568/1,629、1,625/1,628、1,627/1,627であった。 『夕暮まで』が硬質・透明な文体で書かれた小説であるのに対して、『男もの女もの』のほうは、「をかしいなあ」「なぜかしら」などと、あ段の終助詞等を混用した表現になっており、それが文末パターンの多様化として統計にも現れている。これらを考慮した文末の単調さの尺度を検討した。 さらに、日本語の文末にはモダリティの文法表現が集中しており、文末の変換はモダリティに影響を及ぼす。これについても考察し、モダリティの変換にまで踏み込んだ非単調化手法をも検討した。
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