1998 Fiscal Year Annual Research Report
日・韓の科学技術活動の計量的比較-科学技術政策への政策科学的接近を目指して
Project/Area Number |
09680416
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
丹羽 冨士雄 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (70091915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 達雄 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (30134323)
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Keywords | 科学技術 / 発展サイクル / モデル検証 / 日本 / 製造 / 技術開発 / 科学発見 / 科学技術基盤 |
Research Abstract |
本研究の目的は、科学技術の発展サイクルモデルに基づいて、日本と韓国の科学技術活動を比較し、それによって両国の科学技術政策に接近するものであった。科学技術発展サイクルとは一国の科学技術活動を製造、技術開発、科学的発見、科学技術基盤という4相から分析するものである。各相は量と質を示す2次元で構成され、各相ともS字曲線で成長する、というものである。さらに、一国の科学技術の発展は一般に予想されているように科学技術基盤から始まるものではなく、製造から牽引され、次いで技術開発、化学的発見、科学技術基盤へと進むものである。 日本についてはそのサイクルを定量的に測定し、モデルを検証することができた。製造では量の指標に第二次産業の生産額(の世界におけるシェア、以下同じ)、質の指標にハイテク製品の生産額を採用した。技術開発では各米国特許庁に対する特許登録数とその被引用数、科学的発見では論文発表数とその被引用数、科学技術基盤では理工学部学生数とその博士数を採用した。これらは日本だけでなく米独英仏の統計を使用し、最近20年間の日本の科学技術活動がほぼ仮説モデルのように挙動することを明らかにした。 韓国については、様々な統計を資料を入手したが、上記モデルを完全に検証できるようなものを入手することはできなかった。しかし、断片的ではあるものの、製造業のたち上げから、技術開発、科学的発見、科学技術基盤の整備へと進むことは予想された。日本との比較で言えば、各相とも数年の遅れがある(あくまでも平均的である)と推定される。しかし、後の相になる程遅れは逆に短いと推定される。 さらに、このモデルの視点から両国の科学技術政策を眺めると、日本は最近基礎シフトが行き過ぎではなかったか、韓国は科学と技術との連携が薄いのではなかったか、と評価される。今後のより精密な分析がさらに必要と考えられる。
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Research Products
(1 results)