1997 Fiscal Year Annual Research Report
第二種地震空白域の客観的検知とその発生メカニズムの研究
Project/Area Number |
09680439
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松澤 暢 東北大学, 理学部, 助教授 (20190449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 尚之 工業技術院, 地質調査所・環境地質部, 研究官
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Keywords | 空白域 / 地震活動 / 発震機構 / 応力変化 |
Research Abstract |
1.序研究分担者(加藤)らは、大地震の前の準静的すべりに伴う応力変化により第二種空白域が生じるというモデルを提出してきた。このモデルの正しさを検証するために、1994年三陸はるか沖地震の後のプレート内地震のメカニズム解の変化を調べた。 2.結果小地震のメカニズム解を精度良く決定するために、「マスターソリューション法」という新たな手法を開発した。この手法を用いて1992年以降に発生した小地震のメカニズム解を調べたところ、本震の後約2年間、震源域の西側深部延長の二重深発地震面の上面では、正断層型の地震が発生しなかったことが明らかになった。太平洋プレート内部では、本震の後、震源域の東部で正断層型の地震が発生し、また震源域の西側深部延長では二重深発地震面の下面の活動が低下したことも別の研究者の研究によって明らかになっている。これらのことを考慮すると、プレート境界で大きなすべりが生じた場合、プレート内部の広い領域で応力が変化することは間違いないと考えられる。このことは、大地震前に大きな準静的すべりがあれば、プレート内部の広い領域で応力の変化があってもよいことを実証している。 3.今後の方針プレート内部の応力変化の検出には、地震活動だけではなく、メカニズム解を調査することが有効であることを今回の結果は示している。今後は、本震の前に本当にプレート内部で応力の変化があったかどうかを、さらに小さな地震のメカニズム解を調べることによって検証する。このような手法で解析することにより、空白域の生成原因が明確になりとまた空白域の客観的検知に有効であると考えられる。
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[Publications] N.Kato: "Possible Mechanism of Precursory Seismic Quiescence : Regional Stress Relaxation due to Preseismic Sliding" Pure and Applied Geophysics. 150. 249-267 (1997)
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[Publications] N.Kato: "A Numerical Study on Seismic Conpling along Subduction Zones using a Laboratory-derived Friction Law" Physics of the Earth and Planetary Interiors. 102. 51-68 (1997)
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[Publications] 五十嵐俊博: "マスター・ソリューション法による三陸沖で発生する地震の震源メカニズム解の推定" 日本地震学会講演予稿集. No.2. B67 (1997)
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[Publications] 五十嵐俊博: "小地震のメカニズム解分布から推定される東北日本孤下に沈み込む太平洋プレート内部および境界における応力の時間・空間的変化" 地球惑星科学関連学会1998年合同大会予稿集. (印刷中). (1998)