1997 Fiscal Year Annual Research Report
植物個体のライフサイクルにおける養分元素のリサイクル活動の解析
Project/Area Number |
09680502
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中西 友子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30124275)
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Keywords | アサガオ / 元素動態 / リサイクル活動 |
Research Abstract |
本研究では、植物のリサイクルについて調べるため、まず、植物個体中での元素の動態を経時的に求めることを試みた。試料としてはコントロール試料で重金属の含量が穀物試料よりも多い、アサガオを用いて、初根から結実するまでの各段階の植物を5から10個体づつサンプリングした。初根後、4、6、13、23、56、61および78日の試料を採取した。これらの試料は、根は上下2部分に分け、地上部は各葉、各節間の茎、花部を分け取った。78日後の試料では、葉は7葉までサンプリングすることができた。花の部分は花柄、ガクに分け、結実した試料については、種皮、種に分けて採取した。これらの膨大な数の試料中の6元素をまず、短期放射化分析により求めた。放射化分析用試料調製にあたって、アルミニウム含量が特に少ないポリエチレンの袋を用意し、放射化は原子力研究所で行った。短期放射化により、まず、Na、Mg、Al、Cl、KおよびCaの定量を行った。NaとAlは、初根後78日まで殆ど根に蓄積されたままであり、地上部への移行は殆ど見られなかった。KとClは、生育に伴い、地上部へ移行していくが、茎や葉よりも葉柄濃度が高いことが、花芽が生育し始めた段階から顕著となった。これらの元素は葉柄の蓄積により葉中の浸透圧を適切に調節していると予想される。また、MgとCaは、双葉の位置で一旦蓄積され、花芽が形成され始めると、上部の必要に応じて徐々に上部へ移行するという、効率的な元素サイクルが示された。
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