1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680514
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
畠山 史郎 国立環境研究所, 地球環境研究センター, 研究管理官 (30132856)
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Keywords | 奥日光 / 白根山 / 光化学オゾン / 森林被害 / 小型データロガー / 定電位電解セル |
Research Abstract |
奥日光の白根山周辺においては以前より深刻な森林被害が見られる。被害を受けている樹木は特定の樹種に限らず、ダケカンバ等の広葉樹も、オオシラビソ等の針葉樹も広範囲に被害を受けている。この原因が光化学オゾンや、これと植物が放出するテルペン類等の天然炭化水素の反応で生成する過酸化物に由来するのではないかと考え、まず手始めに、実際に深刻な被害を受けている高山、亜高山地域でのオゾン濃度の測定を行った。高濃度のオゾンが到達していなければ、過酸化物の生成もあり得ないと考えたからである。通常のオゾン測定と異なり、山の上では一般の電源が利用できないため、電池で駆動できるオゾン測定装置の開発が必要である。これには定電位電解セルを用いた小型オゾンセンサーを利用できることを見いだし、また、電池を用いて、短いインターバルでデータを記憶できる小型のデータロガーを入手出来たので、これをデータの保存に用いた。また、観測地点は標高2000m付近の山間部であり、当該地には無人の小屋しかないため、観測にあたっては、観測器材や食料を含め一切を人が担いで上がらなければならない。この点に関しては、自然保護に関心を持つボランティアーの方々の協力を得ることができた。 以上のように高山地帯での観測の条件を整えた上で、平成9年8月1日〜10日に、奥日光前白根山頂上直下の鞍部稜線上においてオゾン、気温、風速風向、湿度の測定を行った。平成9年度の八月上旬は夏型の気圧配置が安定せず、比較的低温で、風向も首都圏とは反対側の北西からの風が多かった。このため、100ppbを越えるような高濃度のオゾンは観測できなかったが、首都圏方向からの風が続くときにはオゾン濃度が高くなる傾向が見られた。また直前の6月末に環境庁が近傍で行った観測では100ppbを越える高濃度オゾンが観測されており、今後さらに観測を続ける必要がある。
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