1998 Fiscal Year Annual Research Report
食品(キノコ)中のセシウムの存在様態と高濃縮機構に関する研究
Project/Area Number |
09680515
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
杉山 英男 国立公衆衛生院, 放射線衛生学部, 室長 (00216350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 文男 東邦大学, 薬学部, 教授 (50057767)
寺田 宙 国立公衆衛生院, 放射線衛生学部, 研究員 (10260267)
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Keywords | キノコ / セシウム / 存在様態 / 高濃縮 / 菌糸 / X線マイクロアナライザー / Kチャネル |
Research Abstract |
チェルノブイリ原発事故の後、キノコに放射性Csが高蓄積することが国内外で認識されているが、その濃縮機構について確立された知見は示されていない。本研究では、^<137>Cs(Rl)ならびに安定Cs等を用いたキノコ菌糸の培養実験により、その取込みについて同族元素のKなどとの競合性、細胞に取込まれた際の細胞質中でのCsの存在について検討する。さらに、菌糸体による^<137>Csの取込み特性を検討しNaポンプと同様にCsに特異的な取込み機構が存在するか否かの観察を行う。 平成10年度は、食用ヒラタケ(Plcurotus ostrcatus)の菌株を川いた培養実験等により以下に示す知見を得た。1. キノコ菌糸の増殖員と放射性Cs取込みの経時的実験:ヒラタケの菌糸培養実験(Cs15mMならびに^<137>Csを含むYMC培地使用)では、菌糸は培養開始後72時間までは増殖期にあるがそれ以降120時間までは定常期にあった。^<137>Csの取込み量を^<137>Cs濃度比(乾燥菌糸中濃度/培地中濃度)で表すと培養開始24時間後の値はすでに10近く菌糸によるCsの取込みの早さが示唆された。 2. 菌糸微小部におけるセシウムの存在に関する実験:増殖期(48時間培養)と定常期(120時間培養)にあるヒラタケ菌糸を走査電子顕微鏡-X線マイクロアナライザーにより形態観察、元素分析した結果、Csの存在は先端部に比べて早い時期に生成した菌糸が密集している根元部で約5倍高い値であった。一方、キノコの必須元素とされるKとPはともに先端部と根元部でその存在に変化は認められなかった。 3. Kチャネル介在に関する培養実験:ヒラタケの増殖阻害を示したKチャネルブロッカーのうち、lmMの4-AP(4アミノピリジン)はCsならびにKともに対照の60%程度に取込み量が低下がみられ、Csの取込み経路の一つとしてKチャネルが着目された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hideo Sugiyama: "Growth and ^<187>Cs Accumulation by Mushroom(pleurotus estroatus)Mycelia and Elementary Analysis with Scanning Electron Microscope-X-ray Microanalyzer" Bioimages. 6・3-4. 109-113 (1998)
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[Publications] 杉山 英男: "キノコによるセシウムの高濃縮性" Redioisotopes. 47. 669-671 (1998)
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[Publications] Hiroshi Terada: "Influence of Alkali Elements on the Accumulation of Radiocesium by Mushrooms" Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry. 235. 195-200 (1998)