1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09680524
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鎌田 七男 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (00034629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 公夫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (70116622)
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Keywords | 高線量被爆者白血病 / WT1遺伝子 / p53遺伝子 / MYC遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は昭和43年から45年に行った原爆被災復元調査により確認された78名の500m以内原爆被爆者を基軸にしての細胞遺伝学的ならびに分子生物学的研究を行っているものである。 本年度はWT1遺伝子異常検出のための資料蒐集とがん抑制遺伝子の欠損に関する実験を行った。これまでに蒐集された被爆者血液のWT1遺伝子蛋白量を測定するとともに、FISH法を用いて原爆被爆者白血病細胞のサブ・クローンの存在について検討した。 1. 被爆者血液のWT1遺伝子蛋白量測定 500m以内原爆被爆者10名の末梢血採取が可能であった。測定の結果、4名はRNAの質的問題により検査が不能であり、6名に関しては測定中を得た。6名中2名は感度以下で蛋白量の増加は認められなかったが、4名では中等度増加が2名,高度増加が1名にみられた。陽性症例率は高いようであるが,被曝線量との間に直接的な関連はみられなかった。症例の追加が今後も必要である。 2. FISH法によるサブクローンの検出 2Gy以上の高線量被爆者白血病8名について、通常法による染色体分析と同時にFISH法によるサブクローンの検出を行ったところ8名中6名に-7,17p-,20q-異常の単独ないし複数個の異常サブクローンが見出された。また、MYC遺伝子およびp53遺伝子のいずれかの遺伝子増幅が8名中4名にFISH法で検出された。非被爆者白血病15名についても同様の検討を行ったが、6名にサブクローンの存在が明らかとなった。高線量被爆者白血病の複雑な核型異常を反映するものと思われる。
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[Publications] 鎌田 七男: "近距離被爆生存者に関する総合医学的研究. 第25報 25年間の追跡調査結果" 広島医学. 51・3. 355-357 (1998)
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[Publications] Tanaka,K.: "Segmental jumping translocation in leukemia and lymphoma with a highly complex karyotype" Leukemia and Lymphoma. 29・3. 563-575 (1998)
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[Publications] 中西 弥恵: "原爆被爆者白血病の分子細胞遺伝学的研究" 広島医学. 51・3. 358-360 (1998)