1998 Fiscal Year Annual Research Report
放射線により発現誘導する細胞内全遺伝子の経時的解析甲状腺細胞と線維芽細胞の比較
Project/Area Number |
09680529
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
難波 裕幸 長崎大学, 医学部, 助教授 (80237635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 俊文 長崎大学, 医学部, 教授 (30165922)
山下 俊一 長崎大学, 医学部, 教授 (30200679)
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Keywords | 放射線 / 甲状腺 / 細胞内シグナル伝達 / 遺伝子クローニング |
Research Abstract |
1. 甲状腺組織において放射線による発がん頻度が高率である原因を解明するために甲状腺細胞と線維芽細胞を用い放射線応答を比較検討した。まず、外因性ストレスにより活性が誘導されるJNKキナーゼの活性を両細胞で比較したところ放射線(5Gy〜10Gy)により線維芽細胞では、放射線によりJNK活性の誘導は認められなかったが、甲状腺細胞では、JNK活性の2〜3倍の増加を認めた。この放射線によるJNK活性増加を誘導する細胞内伝達経路を調べたところ、プロテイン・キナーゼCの阻害剤であるH7およびTPAの前処置でTSHによるJNK活性がブロックされることより、プロテイン・キナーゼC経路の関与が確認された。このデータは、BBRC(244,1998)に掲載された。 2. 放射線照射に反応する新たな遺伝子を解析するためにSAGE(Serial Analysis Gene Expression)法を用い実験をおこなっている。放射線照射(0、2、5、10Gy)後の細胞よりmRNAを抽出し、Ditagを作成し、非照射コントロール群12016tag、10Gy照射30分後14020tagのシークエンス解析を完了した。その結果最も高頻度で見られる遺伝子はHuman small cytopolasmic 7SL RNA、Ferritin heavy chain、Mucin、Elongation factor 1等であった。現在までにわかっている放射線によって発現量が増加したと推定される遺伝子としてはthymidine kinase等である。しかし、まだシークエンスが少ないために十分な統計的解析ができる状況に至っていない。そのためにさらに例数を増やし、コンピューター分析にて放射線反応性遺伝子のレパトリーを明らかにする予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Hara,H,Namba,S.Yamashita et al: "Ionizing radiation activates c-Jun NH2-terminal kinase(JNK/SAPK)via a PKC-dependent pathway in human thyroid cells." Biophys Biochem Res Commun. 244. 41-44 (1998)
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[Publications] T.Hara H.Namba et al.: "Thyrotrpin regulates c-Jun N-Terminal kinase(JNK) activity through two distinct signal pathways in human thyroid cells" Endocrinology. (in press).