1997 Fiscal Year Annual Research Report
新しい高感度DNA損傷検出法による環境汚染物質の生態毒性評価
Project/Area Number |
09680532
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
岩堀 恵祐 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教授 (40183199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 直幸 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助手 (20285191)
下位 香代子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (10162728)
木苗 直秀 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (00046286)
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Keywords | コメットアッセイ / DNA損傷 / 電気泳動 / Lysis / タイプカルチャー / リンパ球 / γ線照射 |
Research Abstract |
コメットアッセイ法は従来、ヒト末梢血リンパ球やマウス肝初代培養細胞などを使用してきた。しかし本研究では、環境汚染物質の生態毒性を評価することが目的であるので、毒性影響を最初に破る各種の微生物を対象とした。このため、DNA損傷を確実に生じさせるγ線照射(20分)とリンパ球を対照系として、供試微生物には、酵母Saccharomyces cerevisiae、植物性鞭毛虫であるEuglena gracilisとMonas guttula、緑藻類Chlamydomonas pulstatillaを用いた。コメットアッセイ法の操作因子として、アルカリ易溶出部位に影響を与える電気泳動時間、Lysisの時間とpHが想定でき、既往研究の成果を考慮して、泳動時間を30〜60分に、Lysisの時間とpHを1〜4時間と8〜13にそれぞれ設定した。なお、各測定ともγ線照射のないコントロール系を併用した。その結果、S.cerevisiaeやC.pulstatillaはアルカリ易溶出部位が検出されなかったため、本法の試料に適さないことがわかった。また、M.guttulaの継代培養には被捕食微生物のMicrocystis aeruginosaが必要で、M.guttulaのコメットのみを蛍光顕微鏡で判別することが難しかった。E.gracilisの場合には、どの操作条件でも実験系とコントロール系でコメットが確認されたが、Tail lengthでの評価では、泳動時間60分でLysis時間2時間で両者に差異が認められ、DNA損傷の定量化の可能性が示唆された。対照系であるリンパ球では、泳動時間30分でLysis時間1時間、pH10程度が適性な条件であり、コントロール系ではほとんどコメットが現れなかったことを鑑みると、供試する細胞の由来により、操作条件が異なることが明らかとなり、コメットアッセイ適用上の問題点を指摘することができた。
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