1997 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球凝集と血流におよぼす強磁場の影響に関する研究
Project/Area Number |
09680535
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
飯野 正昭 日本医科大学, 医学部, 講師 (00182999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 雄一 東京工業大学, 理学部, 助教授 (50135670)
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Keywords | 赤血球凝集 / 強磁場効果 / 生体膜異方性反磁性 |
Research Abstract |
9年度は、研究目的に記したように、測定システムを構築する事に主眼を置いた。その結果,東京工業大学内の磁場発生装置の改良が進行したが、誘電測定が遅れている。これは異なる大学に実験装置を設置する難しさが、特に日本医科大学側に存在したことが大きな理由であった。遅れているうえ、得られる磁場も当初の計画よりもやや低いものになってしまう予定となったが、10年度にはより総合的な見地から研究を行える予定である。 強磁場により赤血球の凝集が促進される事を顕微鏡下で観測し、赤血球沈降係数が増大する事がはっきり示された。細胞凝集の磁場効果は、少量でも常磁性を持つ細胞内ヘモグロビン分子の磁場異方性、細胞膜物性の磁場依存性(磁場異方性はすでに示されている)、血漿蛋白質の磁場異方性、および膜一血漿蛋白質間相互作用の磁場依存性に起因すると考えられる。9年度には、磁場中で核磁気共鳴測定を行い、赤血球内ヘモグロビンには分子運動に異方性は見いだされない事、および、細胞膜物性を反映する水透過係数には磁場効果は現れない事が判明した。よって、観測された細胞凝縮の磁場効果の原因は、細胞内と膜自身には無く、細胞膜と血漿蛋白質間の相互作用にある事が示唆された。 今後は、細胞凝縮能増加をミクロな観点から観測する為、残った当初の予定である、誘電測定などを遂行すべく、測定電極と試料セルを完成させ、磁場依存測定を行う予定である。試料に血液を用いると細胞配向等の凝集への影響があり実験系も複雑な為、今後は水自由表面の分子分散系などの、より単純な系における実験も予定している。
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[Publications] 飯野: "Effects of homogeneous magnetic field on erythrocyte sedimentation and aggregation" Bioelectromagnetics. 18・3. 215-222 (1997)
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[Publications] 飯野: "Effect of protein denaturants on membrane permeability to water in erythrocyte" Bull.Soc.Fr.-Jpn.Sci.Vet.7・2. 42-54 (1997)
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[Publications] 飯野: "Concentration dependence of Brownian motion and the viscosity of hemoglobin solution" Jpn.J.Appl.Phys.36・6A. 3786-3790 (1997)