1997 Fiscal Year Annual Research Report
拡散サンプラー方式による揮発性有機化合物の個人暴露量と室内大気の影響
Project/Area Number |
09680539
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
相馬 悠子 国立環境研究所, 化学環境部・計測技術研究室, 室長 (90012400)
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Keywords | 揮発性有機化合物 / 個人暴露量 / 室内汚染 / リスクアセスメント |
Research Abstract |
揮発性有機塩素化合物の個人暴露量測定には,人の1日の行動にそった測定が必要であり,1日総暴露量または1日平均濃度が重要である。大気の拡散だけで吸着管に有機化合物を捕集するpassive samplingは経費が少ない,協力者に協力してもらいやすい。しかし前もって吸引法と比較して吸着速度に当たる関係をだしておく必要がある。 個人暴露量測定に使用したサンプリングチューブは吸着剤はTenax TAを使用した。拡散法で24時間有機化合物を捕集した後,加熱脱着してGC/MSでSIM定量分析した。吸着速度が算出でき定量できたのは,EPAで大気中有害有機化合物の測定法TO-14で対象としている揮発性有機化合物38種類のうち,フロン類2種,有機塩素化合物8種,芳香族化合物8種の18種類である。調査した場所は,つくば,化学科学生,東京葛飾住民である。 化合物により3つの傾向があった。四塩化炭素とフロン11は暴露濃度に地域差があまり無く,かつその暴露濃度が一般環境の大気中濃度とも大体同じで,発生源が近くに無い化合物と考えられる。2番目は,一般環境大気中濃度に比較し暴露濃度が高いが,暴露濃度は地域差が少ない化合物で,典型的な物質はp-ジクロロベンゼンで室内からの汚染の影響が大きい化合物と言える。3番目は,東京で暴露濃度が高いベンゼンやl,l,l-トリクロロエタンで,都市大気汚染の影響が大きいと考えられる化合物である。 これらの結果から揮発性有機化合物は(1)鼻先(身近)にある化合物の影響が大きい。(2)室内汚染の影響が大きい。(3)一般環境大気中濃度より1日平均暴露濃度に換算した個人暴露量の方が,濃度が高い化合物が多い。従って個人暴露量調査の結論としては,人の健康リスク評価をする場合には,一般環境大気中濃度の計測だけでは不十分な化合物が多いこと,また揮発性有機化合物は身近で使用する化合物や職業暴露での注意が大切である事を示した。
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