1998 Fiscal Year Annual Research Report
拡散サンプラー方式による揮発性有機化合物の個人暴露量と室内大気の影響
Project/Area Number |
09680539
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies. |
Principal Investigator |
相馬 悠子 国立環境研究所, 化学環境部・計測技術研究室, 室長 (90012400)
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Keywords | 揮発性有機化合物 / 個人暴露量 / 室内汚染 / リスクアセスメント |
Research Abstract |
今年度は,タバコからのベンゼン暴露を中心に調査した。揮発性化合物の他物質では喫煙者と非喫煙者の個人暴露量,室内空気濃度に差が無いのに,ベンゼンでは喫煙者の個人暴露量,室内空気とも非喫煙者より濃度が高いことを示した。しかし暴露量は,喫煙タバコ本数には因らない事がアンケート調査から判明し、どのような環境で喫煙したかによるようである。暴露量が高かった人は密閉された自動車の中で喫煙した人であった。 またタバコ喫煙は,直接物質を体内に吸引するため,現在行っている暴露量測定法で正しい暴露量を現していないと考えられる。そこでタバコの煙に含まれるベンゼン全量を暴露量として加えることにした。タバコ煙中のベンゼンはタバコ中のタールに比例するという報告があるので,日本で販売しているタバコ中の平均タール量を使用してタバコ煙中のベンゼン量を算出し喫煙平均本数を掛けてベンゼンの個人暴露量にした。その結果,中央値で非喫煙者の7倍,タール量の多いタバコを喫煙した場合は20倍以上になる。発がんリスクも非常に大きく10^<-4>以上になってくる。 また個人暴露量と室内空気の同時調査で,芳香族化合物濃度の高い人に偏りがあるようなので,聞き取り調査をしたところ,いずれも石油ファンヒーターを使用していた。石油ファンヒーターを使用していた人々のエチルベンゼン,キシレン,トリメチルベンゼンは明らかに中央値が高く、室内濃度との相関をとると,上記の物質の間の相関が大きく同じ発生源からの暴露と考えられ,ファシヒーターの影響が出ていると考えられた。
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