1997 Fiscal Year Annual Research Report
陰イオン界面活性剤を活用する石油系炭化水素で汚染された環境の生物修復
Project/Area Number |
09680549
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
ジョセフ ダドリーラウス 熊本大学, 工学部, 助手 (80284743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森村 茂 熊本大学, 工学部, 講師 (20230146)
古川 憲治 熊本大学, 工学部, 教授 (60029296)
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Keywords | 界面活性剤 / ナフタレン / フェナントレン / 集積培養 / 集積菌 / diphenyl oxide disulfonate / 臨界ミセル濃度 / 吸着 |
Research Abstract |
研究に使用する炭化水素化合物(ナフタレン、フェナントレン)を分解できる集積培養菌を活性汚泥から調製した。調製した活性の高い集積菌はfill and draw法で培養した。ナフタレンに馴養した集積菌は培養5日目から8日目で減衰増殖期に入るが、この増殖期での集積菌を使って、界面活性剤を補填したナフタレン培地での分解試験を行った。フェナントレンに馴養した集積菌はナフタレンに馴養した集積菌に比べて生育が非常に遅く、3週間毎に新鮮な培地に植え継いだ。UVを検出器とするHPLCを用いてナフタレン、フェナントレンを分析する手法を開発した。界面活性剤の分析もHPCLで行ったが、非常に難しく、他の分析法との併用が必要であった。 ナフタレンの分解試験では、初発濃度が10mg/Lとなるよう溶解性の形で加えた。(15mg/L以上では毒性が観察される)界面活性剤として12炭素鎖のdiphenyl oxide disulfonate(C12-DPDS)を使用する際、その濃度が臨界ミセル濃度(CMC:溶液中で界面活性剤が会合する濃度)となると炭化水素の分解を阻害した。界面活性剤の濃度を低下させると、この阻害作用は消失した。界面活性剤の添加濃度が明確にCMC濃度よりも低い場合には、ほとんど界面活性剤による阻害作用は見られなかった。しかし、この阻害効果は、他の研究者が他の界面活性剤について認めている特異的なCMCでのミセルの形成によるものではなかった。得られた結果は、使用した界面活性剤の広い濃度でより緩慢な影響があることを示唆している。他のDPDS、それに比較のための市販の界面活性剤を使ったナフタレンの分解試験はほぼ完了した。 これから、溶解性の悪いフェナントレンをとりあげ、界面活性剤によるフェナントレンの溶解作用がどのようにフェナントレンの生分解に貢献するか検討する計画である。さらに、界面活性剤が細胞の表面、細胞膜の特性あたえる影響を評価する方法を開発する計画である。この研究は、界面活性剤の生体中への吸着に関する予備試験と対応し、分解結果は界面活性剤-炭化水素-微生物の間に含まれる機構についての新しい知見を与えることになる。
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