1997 Fiscal Year Annual Research Report
都市域における大気環境モニタリングシステムの新構築に関する研究
Project/Area Number |
09680559
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
若松 伸司 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 総合研究官 (70109502)
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Keywords | 大気環境質 / モニタリング / 光化学オゾン / 窒素酸化物 / 一酸化炭素 / 炭化水素 / 有害化学物質 |
Research Abstract |
都市域における大気環境質の経年変化や地域分布の特徴を的確に把握する事が出来る大気環境モニタリングシステムの開発が本研究の目的である。研究の初年度である平成9年度においては1.モニタリングの技術に関する検討、2.モニタリング項目の検討、3.モニタリングの空間範囲の検討、4.モニタリングの時間範囲の検討を行った。 発生源モニタリングとしては、自動車からの大気汚染発生量を正確に把握する為には、シャーシダイナモを用いた発生源推定手法と共にトンネルや沿道での的確なモニタリングが必要である事が、明らかとなった。1995年に米国で行われた6ケースの観測結果によれば、窒素酸化物の発生源のモデルの予測値は、実測と近かったが、一酸化炭素と炭化水素に関しては、モデルは過少評価となっていた。我が国での公表されている実測例は殆ど無い為、千葉県、東京都、大阪府においてトンネル観測を行うべく観測システムの検討と予備的な調査を行った。この中では有害化学物質のモニタリングも併せて実施した。 環境モニタリングに関しては光化学オキシダントの地域分布と経年変化の傾向を現在のモニタリングシステムのデータを用いて解析し、その傾向を把握すると共にモニタリングシステムの検討を行った。解析の結果、オキシダントの観測を開始してから20年間に関東・関西両地域においてオキシダントの平均的な濃度は増加の傾向にあり、両地域共に日最高濃度が出現する地域は都心部から郊外に移動している事が明らかとなった。この様な傾向をもたらしたメカニズムを調べる為には都市地域のみならずバックグランド地域での解析も併せて行う必要がある。しかしこの様な目的に利用出来る継続観測地点は極めて少ない。次年度以降は都市地域のオゾンとアジアスケールの対流圏オゾン濃度の変化の関連性を把握出来るモニタリングネットワークのデザインを提案したい。
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