1999 Fiscal Year Annual Research Report
固相グリコシル化反応を用いた糖鎖の合成と細胞認識機構の解明
Project/Area Number |
09680566
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 晴夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (10175664)
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Keywords | ファイトアレキシンエリシター / 糖鎖クラスター構造 / 固相合成 / オルソゴナルグリコシル化 / ワンポットグリコシル化 / シリルリンカー / フッ化糖 / フェニルチオ糖 |
Research Abstract |
細胞表面を覆っている糖タンパク質や糖脂質などの糖鎖は細胞を外部から見分けるための認識分子として重要な役割を果たしている。これらの糖鎖は細胞膜上の異なるドメインに局在的に存在し、クラスター構造をとることが明らかにされている。今回、その機構解明を目的として固相合成を利用した糖鎖の合成について検討を行った。固相合成法は、従来の液相合成と比較すると反応終了後に簡単な洗浄操作で過剰な試薬や副生成物を除去できるため、面倒な糖鎖の精製過程を大幅に簡略化できることから、糖鎖合成の効率化をはかることができる。また、固相上で糖鎖を合成することにより、擬似的に糖鎖のクラスター構造を再現可能であると考えられる。固相合成を行うにあたり、液相合成と固相合成を組み合わせたコンバージェントなアプローチを検討した。すなわち、ワンポットグリコシル化反応を利用した液相合成法で3糖からなる糖鎖ブロックを合成し、固相オルソゴナルグリコシル化反応を用いて糖鎖ブロックをカップリングすることにより、固相反応のステップ数を最小限に抑えた効率的な固相糖鎖合成のアプローチである。ブロモ糖、エチルチオ糖、フェニルチオ糖のワンポットグリコシル化反応によりフェニルチオ基を活性化基として有する3糖ブロックを合成した。この3糖ブロックを共通中間体として用い、グリコシルドナーであるフッ化3糖、グリコシルアクセプターであるフェニルチオ3糖へ誘導した。ポリマー部と糖鎖部をつなぐリンカーには、水酸基の保護基として汎用的に利用されているシリル基を用い、まずフッ化糖を固相に担持した。フッ化糖とチオ糖を交互に活性化する固相オルソゴナルグリコシル化反応について検討を行い、都合2回のグリコシル化反応によりファイトアレキシンエリシタ活性を有する7糖の固相合成を達成した。
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[Publications] Takayuki Doi: "Glycosidation of Solid-Supported Glycosyl Donors Tethered by a Trialkylsilane Linker"Tetrahedron Lett.. 40. 2363-2366 (1999)
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[Publications] Haruo Yamada: "One-Pot Sequential Glycosylation: A New Method for the Synthesis of Branched Oligosaccharides"Tetrahedron Lett.. 40. 4581-4584 (1999)
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[Publications] Takashi Takahashi: "Synthesis of GM4 and GM3 Intermediates via Alkylation and Subsequent Intramolecular Glycosidation of 2 Alkoxy-2-phenylthioacetate"Organic Letters. 1・12. 1885-1887 (1999)