1997 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄産軟体サンゴに含まれる海産プロスタノイドに関する研究
Project/Area Number |
09680575
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
井口 和男 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (50057345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩島 誠 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (20266901)
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Keywords | 海洋天然物 / プロスタノイド / 軟体サンゴ / Clavularia viridis / クラブロン / 構造決定 / 生理活性 / 共生微細藻類 |
Research Abstract |
沖縄県石垣島近海に生息する軟体サンゴClavularia viridisに含まれている海産プロスタノイドに関し、申請した研究実施計画に沿って研究を行なった。今年度は初年のため、まず軟体サンゴの採集とプロスタノイド成分の研究について行なった。プロスタノイド成分の研究用に石垣島近海で軟体サンゴC.viridisを15kg採集し、また軟体サンゴの飼育および共生藻の単離培養の目的ため、生体を約4kg採集した。成分研究用の試料は空輸後直ちにメタノールで抽出し、メタノール抽出物を640g得た。なお飼育及び共生藻の単離培養用の試料は、研究室の水槽内で飼育中である。 次に微量プロスタノイド成分の精査に着手した。先に得たメタノール抽出物を酢酸エチル-水で分配し酢酸エチル可溶部を得た後、その水可溶部についてブタノール-水で分配しそれぞれの可溶部を得た。まず酢酸エチル可溶部を各種クロマトグラフィーで分離精製を行なったところ、既知の海産プロスタノイドと共に4種の新規海産プロスタノイドを微量発見した。これらの化学構造は各種スペクトルデータの解析によりそれぞれの平面構造を明らかにすることができた。しかし単離した新規プロスタノイドが微量であったため、一部についてはキラル中心の絶対立体配置を決定するまでには至っていない。したがって来年度に、今回発見した新規プロスタノイドの立体選択的な合成を行ない、絶対配置を含めた構造の解明を行なう。合成経路は立案されており、既に一部のプロスタノイドの合成に着手した。また単離された新規プロスタノイドの生理活性にも興味がもたれる。新規プロスタノイドの全合成が達成された後に生理活性試験を行なうことを予定している。共生藻関連の研究は、軟体サンゴから共生藻の単離には成功したが、培養の最適条件について現在検討している。この研究は来年度も引き続き行なう。
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